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バーツ高はいつまで続く?

タイ在住者にとって、日本の消費税率引き上げは殆ど埒外にあるが、このところの異常なまでのバーツ高は悩みの種のひとつだ。

僕は日本の銀行口座にある円をタイの銀行へ送金することを4か月ほど控えている。つまり、こちらにあるバーツ預金の残高が減っていくばかりなのだ。そのうちいつかは送金せざるを得ないが、そのタイミングが問題になってくるだろう。

バーツ高は解消されるのか?昨日、タイ中央銀行総裁が次のように述べたことが、Thaivisa.com Newsに載っていたのでそのまま紹介しておこう。翻訳の拙さはご容赦願おう。

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バーツへの投機は下火になる

今日のシンポジウムでウィーラタイ・サティプラップホプ中央銀行総裁は、海外の投資家によるタイへの短期的な資金投下を抑制する方策を中央銀行がとって以降は、バーツ投機は減速していると述べた。

「最近、海外ファンドが去りつつあるので、外国の資金流入はマイナスに転じている」

「こちらの債権市場がアメリカ並みになってきたので、タイ債権への魅力がなくなってきた」

「株式債権市場への外国投資家からの資金流入は現在は下降気味となっている」

このような中央銀行総裁のコメントは、輸出業者のバーツ高への不満が出たときに述べられたもので、1ドル32バーツくらいが望ましいと思っている人もいる。

カシコーン銀行リサーチセンターの報告によると、バーツは金曜日(9月27日)には前週の金曜日(9月20日)に比べて30.46バーツから30.64バーツへと下がった。今日は1ドル30.60あたりとなっている。

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現在のところ、日本の1万円は(両替方法によるが)実質的には2800バーツ前後だ。7~8年前の3600~4000バーツの水準は、極端な円高以外ではありえない。しかし、今の状況は円安というよりも極端なバーツ高が原因だから、このような状態がいつまでも続くとはとても思えない。市場は上に振れたら下を向くようにできているはずだ。

僕もタイの輸出業者と同様、1ドル32バーツ、つまり1万円が3000バーツくらいの水準(ドル円が今のままの水準として)には戻ってほしいと思っている。

(10月1日、11時)

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“オンリー・ワン”

Tとは先週の月曜日から会っていなかった。昨日、いつものようにフィットネスクラブで運動しているとLINEが入ってきた。

「アパートにあるアナタのものを今日、そこに持って行きましょうか?」

Tはようやく別れる決心がついたようだった。あるいは、僕の反応を見ようとしたのかもしれない。「すぐに必要なものは何もないので、急がなくていいよ。いつでもいいよ」とすぐに返事した。

Tには失礼だと思うが、先週月曜日の“強姦未遂事件”以来、僕はTに会う気がしなかった。普通に会話したり、食事したりする気にどうしてもなれなかった。ましてや前のようにアパートで一緒に寝ることは考えにくくなっていた。そんな状況だったから、Tがいろいろ書いてきても、僕の方はほとんど取り合わなかった。

ある日、ウナギのかば焼きの写真と一緒に、「これを買っておいたので、一緒に食べましょう。待ってます」というLINEがきた。でも、ウナギで僕を釣る気か?と却って不愉快な気分になったので無視を決め込んだ。そうすると、これまでの僕の言動を悪しざまに言い募ってきた。「うそつき!」という感じで・・・

それには反論せず、「いろいろと僕が悪かったね。あなたのことはいつも気にしてるんだよ・・・」と、少し優しい言葉を返すと、逆に愛情の籠った言葉が返ってきた。Tは明らかに混乱状態にあった。僕からの返事が滞ると、「アナタには責任があります」と書いてきた。

「こうなったからには、ワタシはお金のことだけを考えるようにします。愛情も、セックスも、今となっては意味がありません」

やっぱりね。人間の考えるのは大体このようなことだ。僕は少しも驚かなかった。Tもご多分に漏れず、僕からの毎月のお金を計算していたわけだ。それが失われるのが一番痛いということだ。そうは言えないので、お金のことを匂わせてきたということだ。少し意地悪な質問を送った。

「あなたが一番欲しかったものは何ですか?」

即座にTから返ってきた言葉は・・・

「アナタにとっての“オンリー・ワン”になりたかったのです」


昨日の夕方、フィットネスクラブにTはやってきた。ランニングマシーンで運動していた目の前に姿を現したので、僕はすぐに機械を止めて、「やあ!」という感じで右手を軽く挙げた。彼女も笑顔を無理やり作ろうとしながら、手をちょっとだけ挙げかけた。でも、すぐに固い表情が混ざり合って、「元気でしたか?」と言った。僕の口から咄嗟に出た言葉は「あとでご飯食べよう」。

運動に一区切りが付いたところで、Tと僕はフィットネスクラブをいったん出た。そして一つ上の階にあるシズラーという有名なステーキ・レストランでサラダバーだけを頼んだ。しばらく2人は黙々と食べるばかりで、どちらからも口を開こうとはしなかった。

スパゲティーなども含まれる食べ放題のサラダをそこそこ食べたところで、沈黙を破ったのはTだった。

「アナタの荷物、今日は持ってきませんでした。ご自分でアパートまで取りに行ってください。今日これからワタシはまだ運動します。その間に行ってくださっていいです。ワタシはいませんから。」

Tはそう言ったあと、僕の返事を待っているようだった。でも僕は黙っていた。どういう風に言うか、まったく言葉が思い浮かばなかったのだ。そして、そのあとも、僕はずっと一言も口を開かなかった。30分くらい、彼女一人が喋り続けた。いちいち会話を書くと恐ろしく長くなるので、彼女の言ったことの要点だけにしておこう。


<先週の日曜と月曜にセックスを迫ったのは、直近にアナタが元妻とセックスしたかどうかをテストしたかったから。あれ以来、いくらLINEを書いても殆ど返事が来なくなり、ゴミのように捨てられるのではないかと日に日に不安が募っていった。それでも毎日アナタが帰ってきてくれないかと期待し、そして失望する繰り返しだった。

アナタが元妻を愛していてもいい、アナタは2人愛してもいい、と確かに自分は言ったけれど、結局それは無理だった。どうしても嫉妬心をコントロールすることができなかった。“オンリーワン”でなければ、自分は生きていけないことが分かった。あの写真を見てから、アナタが元妻の方をより愛していることがはっきり分かったので、絶望的になった。自分がいかにバカなことをしてきたのか・・・毎日自暴自棄になった。何をしても悪い方へ悪い方へ行くようになった。体調も崩した。

アナタを愛していることに変わりはない。けれども、こうなったのはアナタが悪い。ワタシは何一つ悪いことをしていない。アナタは傷ついたワタシの心をケアしてくれなかった。だから責任をとってほしい。ワタシのことが可哀そうと思うなら、今月末でいいので、年内いっぱいの2か月分のアパートの家賃+αを払ってほしい。それでもって、自分は完全に身を引く。もう追いかけたりもしないし、フィットネスクラブで会うことがあっても、“ただの友達”としてしか言葉を交わさない。>


Tは僕の目を見つめながら、大体これだけのことを話した。一生懸命に涙をこらえながら。その顔は、とても美しかった。こんな綺麗な目をした女だったのか、とすら思いながら僕は彼女の話を聞いた。途中、「それは誤解だ」と言いたいことがたくさんあったが、何故か一言も言葉が出てこなかった。彼女がどう思っていようとも、それはそれでいい。お金のことも拒否することもできたかもしれない。でも2万バーツのことで喧嘩しても意味がないように思われた。それよりも、彼女が本当に苦しみ抜いたと言ったので、それは嘘ではなく信用しようと思った。

Tとは本当に終わったのか・・・それはわからない。結局荷物は取りに行っていない。昨夜、それも深夜になってから、会ったときには言葉にできなかったことをほんの少しだけ書いて送った。自分が遊びで付き合っていたわけではないということを。

朝6時に目が覚めた。昨夜LINEに書いたことが読まれているかどうかチェックした。その数秒後、自分の書いた文章がパッと「既読」となった。さらにその後すぐに彼女は返事を書いてきた。

「ワタシもアナタのことを本気で愛しました。でも2人の女性というのはどうしてもダメでした。もしワタシ1人だけだったら、どんなによかったことでしょう。でもアナタは2人を選んだ。ワタシはこれ以上傷つくのはいやですから、もう男の人とは付き合いません。アナタがワタシの人生を壊したのです。きっとアナタは他の日本人とは違って紳士だと信じています」

(10月3日、午後3時)


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もうすぐ19歳になる男の子

女のことばかり書いてきた。よくも飽きずに・・・と自分でも思う。若い頃から女のために生きてきたような感じもあるし、それはある意味では事実だ。そして70近くになった今になって、何人かの女と関係を持っているのは自分なりに幸せでもある。でも、今日は男の子のことを書いておこう。2年半前に亡くなった妻の子供だ。

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昨日、以前住んでいた町の役場へ行った。財布に入っていたIDカードを財布ごと落としたので、再発行してもらうためだ。18歳だから自分一人で手続きできるのだが、最近はバイクを持っていないので車で送ってあげたのだ。

彼は去年、自分の意思で高校を中退した。今は仕事をしている。これで亡くなった妻の3人の子供は揃いもそろって高校中退となった。もっとも2番目の女の子はそのあと高卒の資格を取ったが。

彼はモノを売る仕事を手伝っている。トラックの助手席に乗って移動し、重い飲料水を運ぶ仕事だ。一日200~300バーツくらいしか貰わないらしい。だからほとんど食べ物代で消える。アパートの家賃や電気代は僕がいまだに出している。

新しいIDカードを手にした後、カレーが食べたいと言うので彼の知っている店へ行った。値段がたったの50バーツなのに、ものすごく旨いというから、騙されたつもりで行ってみた。彼は僕の作るカレーの大ファンだったので、カレーに対する舌は肥えている。だから行く前から本当は信用していた。

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これで50バーツ。とんかつが2枚も乗っている。使っているカレーはSBゴールデンカレーの辛口。僕がよく使うカレールウだから、当然味も似ていた。この値段で商売する人の気が知れない。これで儲けがあるのだろうか・・・。

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僕は食べきれなかったので、とんかつ1枚をご飯半分付きで彼にあげた。それもペロリと平らげた。若いから、たくさん食べてもお腹が出ないのは羨ましい。

食べた後、女の話をした。今はまだ一緒に住んでいる元妻とは近いうちに別れるつもりだと話した。彼は何度か会っているが、結婚までしていたことは知らない。彼はこう言った。

「〇〇〇(元妻)は美人だけど、性格がよくないよ。だから早く別れた方がいいと思ってた・・・美人じゃなくても、性格のいい普通の人を選んだ方がいいよ」

僕はTの写真と、もう一人、最近出会ったばかりの女の写真を見せた。

「写真では性格がわからないけど、とにかく顔やスタイルで選んだら失敗するよ・・・それに、お金が欲しいだけの女はだめだよ。○○〇(元妻)はそうでしょ。」

18歳の男の子にこんなことを言われるとは参った。そのとおりだと僕も思っているからだ。そして彼は亡くなったお母さんを引き合いに出した。

「最近になってボクも分かってきたんだけど、お母さんはほんとうに性格のいい人だった。自分のことは考えないで、他の人のためばかりを考えていた。あの頃は、それが分からなかったんだ。いまお母さんのことを思い出すと・・・」

見ると、彼は今にも泣き出しそうな顔になっていた。まだ子供なんだ。

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(彼のお母さんの若い頃、つまり僕の妻だった女)

彼は、やっと人を見る目ができてきたのかもしれない。彼のお母さんは、本当にすばらしい人だった。母親としてはものすごく感情的に子供たちに接していたけれど、人間としては“ただの人”ではなかった。僕と一緒になってからは、お金を無心することが一切なかった。自分のものは何も買わなかった。僕や子供たちが一人300バーツの寿司を食べても、彼女は100バーツの焼き魚かフライの定食しか頼んだことがなかった。彼女は周囲の人のために生きた。

「オトウサンには、お母さんみたいな性格のいい女がまた見つかるといいね」

彼は今はバイクを持っていない。以前買い与えていた大きいバイクは去年、友達に貸したら事故を起こして壊された。長いこと警察に放置されていたが、自分で友達のお父さんと交渉して、毎月少しずつ弁償してもらっている。

彼は仕事のために古くていいから安いバイクを欲しがっている。バイクがあれば通勤ができるので、もっと幅広く仕事を探すことができるからだ。中卒の彼に将来があるのかどうか・・・二番目の女の子のように、せめて高卒の資格は取ってもらいたい。

昨日は久しぶりに彼と会ってよかった。お金の援助はほとんどしないつもりだが、時々会って話をするのは大切だと分かった。もちろん彼とは100%日本語で話をする。タイ語、日本語、英語・・・これだけ話せれば、いい仕事に就けるかもしれない。

役場で写真を撮ったとき、彼の身長は175センチになっているのが分かった。顔つきもよくなってきた。天国のお母さんも、きっとすごく喜んでいると思う。

(10月9日、11時30分)



ご破算で願いましては・・・

そろばんを習ったことのある人なら当然分かる。でも、今の若い人には理解できない言葉かもしれない。「リセット」と言えば、大体わかる世の中になったようだ。今さら何をリセットするの?決まってるじゃないか、女に決まってる。

Tについては先日彼女の方から別れを切り出してきた。僕は何の異存もない。先月離婚手続きをした彼女に対しては、来月中に家を引っ越しすると僕の方が宣言をしたばかりだ。だから、いよいよ本当の別れとなる。

いざ別れるとなると、なぜか未練心が生じることがあるようだ。僕にはないのだが、お二人にはあるように見受けられる。だからといって、別段困ってはいない。むしろ嬉しいくらいだ。

Tは、「いつかゴルフを一緒にできますか?」と言ってきたり、今日は「キトゥン(会いたい、恋しい)」と書いてきた。元妻は、さすがにお金を頂戴とは言えないらしく、その代わりに、昨日突然お勤めを求めてきた。相手にしないつもりだったけど、夕方の明るいうちにベッドに横になって、彼女から服を脱ぎ始められると、さすがに男としては放置できなかった。

あれは何のためだったのだろうか?念のために、「僕のこと、まだ愛してるの?」と訊いたら、「はい、愛してます」と躊躇なく答えた。お勤めに励んだからといって、1バーツにもならないのに・・・。

とにかく二人の女とは、きっぱりとお別れすることにした。何かのご縁があって、またいつか会うことがあるかもしれないが、今はケジメを付けることにした。ケジメをつけるために必要なものは、僕の場合は新しい女の出現だ。常識人には信じられない発想と行動かもしれないが、僕にとっては、女がいなければ何もすることができない。女と別れるためにも女が必要なのだ。

新しい女については、そのうち書く機会があるだろう。その新しい彼女が近い将来、僕の伴侶になるのかどうかは、今のところ全く分からない。とにかく、今度は速攻ではなく、じわりじわりと攻めてみようと思っている。

今のところは朝起きたときと、夕食後の一日2回、LINEの映像付き音声通話で会話している。というのも、先週チェンマイで3日連続で会った後、彼女は再就職した会社の研修でバンコクに行ってしまったからだ。期間は2週間。映像付きの音声通話というのはなかなか難しい。間(ま)が空くと変なので、ずっと喋っていなければならないような気になるので、結構ストレスになる。それに顔の表情も作らなければならなかったりする。面倒。

ちょっとおかしなことと言えば、別の寝室で寝ている元妻が、「新しい女ができたんですね」と数日前、僕にニヤッとして言ったことだ。会話の内容まで聞かれているのかどうかは分からないが、Tではない新しい女の存在を元妻が認識していることは確かだ。

もしも新しい女と映像付きLINEで会話しているときに、元妻が部屋に入ってきて何か喋ったりしたら・・・これは多分、新しい女とも御破算になると思う。

(10月10日、午後10時)

二番じゃダメなんですか、ダメです

昨日男の子を連れて中古バイクの店に行った。中古バイクはKaidee.comというネットのサイトで選んで、個人から買うこともできるが、やはり個人から買うと、あとのトラブルが心配になる。だから昨日、ルアムチョーク市場にある大きな中古バイク売り場へ。

ネットで調べると、個人の中古バイクは10年くらいのホンダ・クリックが1万バーツ以下である。でもお店では、そのような安いものは売っていなかった。最低でも15000バーツくらい。高い買い物はしたくなかったけれど、バイクがなければいい仕事にもありつけない。可哀そうだから、もう1回だけ買ってやることにした。

彼が最初に見て気に入ったのは19,900バーツという値段の付いた黒のクリック。年式としては10年くらい経っているが、走行距離が少なく、程度もよい。試乗してみて彼はいよいよ気に入った。考えていた予算の2倍というのがネックだった。

そのあと、広い店内にある夥しい数の中古バイクを見て回ったが、どれも彼は気に入らず、結局最初のバイクに戻ってしまった。手ぶらで帰るのも可哀そうなので、少し値切ってから現金で買ってやった。

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ところが彼は18歳。両親の承認がなければバイクの名義変更ができないことがわかった。でも両親はいない。外国人の義父では役にたたない。しかも義父と言っても日本の戸籍上の話で、タイでは義父ですらない。ということで、一人で名義変更のできる20歳になるまでは、元の持ち主の名義のままで乗ることになる。だから、元の所有者の住所や電話番号の入った領収書を持っていることが非常に大切になる。もし警察につかまったとき、泥棒ではないことを証明するために。

ということで、新しい中古バイクに乗って彼は市場から去っていった。これで2台目。もし何かあっても、3台目の面倒はみない。

ところで、「二番じゃダメなんですか」というのはバイクとは関係ない。もはや過去の人になった蓮舫とも関係ない。ネットのマッチングサイトで見つける女の話だ。それについては、また今度書くことにしよう。

(10月11日、9時)




新居を見つけてきた

来月引っ越す予定の新しい住まいを早くも見つけてきた。今度はいよいよチェンマイ市内だ。セントラル・フェスティバルという大きなデパートから3キロ、ルアムチョークプラザという大型ショッピングコンプレックスとは2キロも離れていない。緑に囲まれた小さなムーバーンにある一戸建てを選んだ。犬が2匹いるのでマンションは選べない。

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家賃は今とそれほど変わらない。土地の面積も同じ。でも今度は1階建てなので、それこそ猫の額ほどの庭しかない。犬にはそこは我慢してもらうことにする。それと、当面はお母さん役の女がいないので、多少は迷惑をかけるかもしれない。

昨日、元妻にこの話をした。彼女はまだ住むところを決めていないらしい。でも、今の家から近いところでアパートを探すつもりのようだ。父親とお姉さんの住んでいる家には戻るつもりがないらしい。タイでは、“出戻り”というのは基本的にはないと彼女は言っている。

最近の彼女は昼間の仕事だけでなく、夜の仕事も始めたようだ。詳しくは聞くつもりがないので分からないが、毎日お姉さんが夕方7時過ぎに迎えに来て、帰ってくるのは朝の4時ごろだ。遊んでいるのではなく、仕事であることは間違いない。

31歳だけど、25、6歳にしか見えない“かわい子ちゃん”だから、夜の仕事ならきっとどこでも使ってくれるだろう。子供を産んだこともないので、スタイルはスリムで、しかも出る所はそれなりに出ていて形がいい。外見だけで男どもにもてるに違いない。手っ取り早く稼ぐとなると、日本もそうだが、結局水商売になるのかなあ・・・「だって、アナタがいなくなるんだから、仕方ないでしょ」と彼女は言っている。

それにしても、彼女は意外とサバサバしている。恨みつらみは一切言わない。普通に夫婦として一緒に暮らしていた時と、寝る部屋が別になっている以外は何も変わっていない。実は、案外と性格はいい女なのかもしれない。「誰かいい人がいたら紹介してよ」とも言っている。タイ人の女は、だいたいそういうもんだ。

(10月12日、午後1時)


人の恋路を邪魔する女

どうも僕は慌て者らしい。何か非常事態が出来したときに、冷静に対処できないことが多い。昨日が、まさにそうだった。

フィットネスクラブで時間を過ごした後、夕方家に帰ってみると、彼女のバイクはあったが姿が見えなかった。だからきっとお姉さんか誰かが迎えに来て、どこかへ行ったのだろうと考えた。それで、油断して新しい彼女にLINEで話しかけた。

シャツも着ないでベッドに寝そべりながら、映像付きの音声通話で話していた。しばらくして、突然声がした。「オトウサン、誰と話してるの?」・・・元妻が、突然前触れもなく部屋に入ってきた。入って来ただけならまだしも、わざと大きな声を出したのだ。これはどう考えても、わざとだ。

僕は「ちょっと待ってね」とケータイに向かって言ってから、慌ててLINEを切ろうとした。でも慌てたので、ケータイの電源そのものを切ろうとした。でも、なぜか切れなかった。いつまでたっても切れない。元妻はニヤニヤ笑って「ワタシが消してあげましょうか?」と言い出した。さらに何を言い出すかわからない。完全に狼狽えた。この狼狽えている姿がカメラに写っているかもしれないと思うと、もっと狼狽えた。もしも「今日もHしますか?」なんて元妻が言ったら、世の終わりだ(笑)。せっかく気に入った女と出会っても、ご破算になるわけだ。

何か言い訳をしないといけない。放っておくと、新しい女とはオサラバになるだろうと思われた。そこで一計を案じた。30分くらい経ってから、気を取り直して文字を書き送った。映像音声付きのLINEは、元妻のいるときは危なくてやってられない。

「さっきは亡くなった妻の娘が急に訪ねてきてね・・・びっくりしたよ・・・」

嘘に嘘を重ねるというやつだ。離婚したばかりの元妻が一緒に家にいることなど、新しい女には口が裂けても言えなかった。普通なら考えられないことだから。Tと会ったときに「実は妻がいます」とはなかなか言えなかったのと似たようなものだ。「妻」が「元妻」、あるいは「前妻」という単語に変わるだけだが、かえって相手はわけがわからなくなるだろう。

2年半前に妻が亡くなったことは話していた。3人の子供がいることも新しい彼女は知っている。だから、娘が訪ねてきたと言っても、状況としてはとっても不自然というわけではない。しかも、元妻は「オトウサン!」と声を出したのだった。「“オトウサン”と言う日本語は、タイ語でポー(父)という意味でね・・・」と書き送った。こういうのは、本当は余計な言い訳だが・・・

彼女は「家にカギはかけてないんですか?」と訊いてきた。「扉はいつも開けっ放しだ」と説明したら、何となく納得したようでもあった。でも、僕が慌ててLINEの通話を切ろうとして切れなかった数分の間、彼女は一言も言葉を発しなかった。「どうしたんですか?」とか、普通は言いそうなものだ。ずっと無言だったということは、何だか変だと感じていたに違いない。

ところが、夜になって新しい彼女(名前はK)が思いもよらぬことを書いてきた。「娘さんは、お父さんに女がいるかどうか確かめに来たんじゃないですか。サプライズで来たんですよ、きっと」・・・つまり、娘が勝手に家に入ってきて、僕を驚かすために「オトウサン!」と声をかけたのだと推理したようなのだ。

その後しばらくたって、Kはこんなことを書いてきた。

「アナタはワタシと友達付き合いをしたいのですか?それとも、一緒に暮らしたいと思っているのですか?」

これまでたったの3日しか会っていない。もちろん、セックスはしていない。3日目の別れの時に、手を少しだけ握り合ってほんの軽いキスをしただけだ。Kは会社の研修でバンコクにいるので、この1週間は会っていない。

会わなくても、毎日LINEでいろいろな話はしている。でも、「いま何してる?」「晩御飯は何食べたの?」「3連休は何をするの?」というような他愛のないことがほとんどだった。突然、これまでのやり取りとは根本的に違う質問を彼女の方から投げてきたのだ。

Kは、亡くなった妻の娘が(義理の)父親に女がいるかどうかを確かめたくなったのだと考えた。そして自分がその女になるのかどうか、僕に確かめたくなったのだろう。「アンタ、ワタシに嘘ついてるんじゃないの?」と考えるのとは全く逆方向だった。つまりKは僕の嘘をつゆほども嘘とは思わず、善意に解釈したのだ。いや待てよ、違うかもしれない。女の勘はすごいから。

「アナタはワタシに何を望んでいるのですか?(ハートマークなどの)ステッカーはいらないので、率直に言葉で答えていただけますか?」・・・Kは真剣そのものだった。

最後に付け加えておくと、人の恋路を邪魔するような行動に出た元妻のことだ。もちろん僕は怒ったりしなかった。彼女にも焼餅があるだろうし、何よりも次から次へと新しい女を見つけてくる男にあきれているのだろう。

「どうせアナタは“一人暮らし”だと言って女を騙してるんでしょう。ほんとに悪いひとなんですから」・・・そう言って笑うところはまだ可愛らしい。でもね、考えてみれば、手切れ金をもらって離婚したのに、僕の家にいつまでも居座っている女ってのも決していい女ではないと思うんだけど・・・少なくとも、邪魔はやめてほしいな。

(10月14日、7時30分)

自分に合う女とは・・・

僕のこれまでの経験では、女には3つのタイプがある。

A 美人で性格もよさそう。でも、自分にとっては“高嶺の花”と感じてしまう女。

B 自分にはない長所があって、付き合っていて得るものが大きいと感じられる女。

C 自分と等身大に感じられ、特に美人でなくても直観的に縁があると感じられる女。

“ソールメイト(運命のひと)”というべき亡くなった妻はまったく別格。敢えて言えばBだが、やはり特別な女だ。離婚した元妻はCだと思っていたけれど、結果的には縁がなかったようだ。3か月付き合ったTは間違いなくBだ。そして、付き合い始めたばかりのKは、Cだ。

ついでに言うと、Aに属する女とはほとんど縁がなかった。美人で性格がいいといえば、亡き妻も若い頃は美人だったと思うし、性格も別格だが、憧れるような高いところにいる女ではなかった。人のために地を這うように生きて、僕とめぐりあって短すぎる一生を終えた。


さて、「アナタはワタシに何を望んでいるのですか?言葉で答えてください」と一昨日の夜、突然迫ってきたKのことを書こう。

その日の夕方、LINEで彼女と他愛のない会話をしている最中に元妻が割って入ってきたので、もう終わりだろうと考えていた僕は、Kの質問に飛びついた。発作的に答えたと言えばそうだし、何か運命の糸に手繰り寄せられているかのように答えたと言えば、そうだ。

「貴女と一緒に暮らしたいと思い始めています」

今度こそ安全運転、スロー運転で行こうと思っていたのに、出会ってからたったの10日、会ったのはたったの3回。しかも、そのうちの2回はわずか30分くらいしか一緒にいなかった。もちろん男女の関係はない。そんな相手にそう答えた自分は何なんだろうか。“渡りに船”だったからだろうか?その船には乗るのが正解だと僕は瞬時に判断したので迷いがなかった。

初めて会ったのは今月3日の夜だった。Good View Village という郊外にある大きなレストランで食事した後、なぜかKは自分の車で30分ほどかけて、チェンマイの南のランプーンにある「ワット・プラタート・ハリプンチャイ」というお寺まで連れて行ってくれた。

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たまたまその日は提灯(吊りランプ)を奉納する行事があって、僕たちも100バーツ払って提灯に2人の名前を書いて境内にぶら下げた。そのとき僕たちは何か運命的なものを感じたのだ。

僕の簡潔な“回答”に対して、Kはものすごい速度で反応した。

「アナタのことは最初に会った時から、思いやりのある人だと感じていました」

「チェンマイに戻ったら、アナタさえよければ、一緒にいようと思います」

「アナタと出会ってから少ししか経ってませんが、長い時間一緒にいるように感じています。話をしていて、お互いに理解し合えるような気がします」

「ワタシは、この人と決めた男の人とだけ付き合います。ほかの男の人とは付き合いません」

Kの言葉は僕の心を躍らせた。でも、もうひとつ大事なことを言う必要があると感じたので書いた。

「毎日セックスしてもいいですか?」

これに対してKは、「毎日でもかまいません。お互いが満足できるセックスをしましょう」と、躊躇なくOKの返事をくれた。でも、僕は現実に戻って、「週に3回でいいかな」と修正した。

「一緒に料理を作って食べましょう。家事も一緒にしましょう。すべて一緒に生きていきましょう」

Kは、あらゆることについて「一緒にしましょう」という言葉を多用した。それ以外に何も注文をつけてこなかった。「アナタの世話をしてあげます」と言った元妻やTとは、感性の違いを感じた。四六時中一緒だと、大変なことになりそうだけど。

ところで、Kと初めて会ったとき、僕は自分の年齢を偽った。10歳以上も若く申告した。そして彼女が研修でバンコクに行ったあと、4、5日前に突然年齢を聞いてきた。「(会社の寮の)同室で寝泊りしている若い女性が、アナタの年齢はいくつかと気にしてるの。アナタのこと、可愛らしいタイ語を喋る人だって。いつもLINEで声を聴いているから、気になってしょうがないみたい。この前、顔も見に来たんですよ・・・」

僕は覚悟を決めてパスポートの写真を送った。Kの反応は予想外だった。「今年で68歳ですね。とても信じられないんですけど、どんな食事をしてるんですか?何か特別の栄養剤とか飲んでいるんですか?」と反応した。日本での仕事は何だったかも聞いてきた。本気で付き合おうとすれば、そりゃ当然聞くだろう。

それはそうと、Kは33歳の女ざかり。70近い男でも全然平気なのは、さすがにタイ人の女だ。

(10月15日、7時30分)

規格外のおバカさん

最近の彼女(元妻)は相当おかしい。毎夜、長時間誰かとLINEで話している。相手は友達の女性のようだが、1時間も2時間も喋りっぱなしで、そのうち感情が激してきて大声で怒鳴るような話し方に変わっていく。何を喋っているのかは、超早口なのでわからない。

昨日もそうだった。その間に僕はKと文字のやり取りで会話していたわけだが、それが終わってリビングに降りていくと、元妻はウイスキーの水割のお替りをくれと言う。瓶を見ると、もう相当飲んでいるようだったので、最後の一杯だけ、薄めに作ってあげた。

友達とのやり取りは終わっていた。相当に酔っているようだった。「大丈夫?」と声をかけたら、僕の手を握りしめてきた。じっと僕の顔を見つめている。みるみるうちに涙が溢れてきた。

「もう本当にアナタとお別れするのね・・・」

それ以上は言葉が出てこなくて、テーブルに置いてあった汚いタオルでしきりと涙をぬぐっている。鼻水も一緒に出ているので、僕はティッシュペーパーを取って彼女に渡した。彼女はただただ僕を見つめているだけだ。顔はクシャクシャで、ときどき僕の手を強く握ろうとするが、僕はただ彼女に握らせているだけで何もしない。心の中では思いっきり抱きしめてやりたい気持ちが湧いているのだが、それをするとさらに彼女を傷つけるのが分かっているので、何もしなかった。

冷たい水をコップに入れて、彼女の目の前に置いた。「これを飲みなさい」、そう言って僕は自分の寝室に戻った。

「本当にお別れするのね」・・・これまでは冗談だと思っていたのだろうか?

昨日の朝、僕一人でムーバーンの管理事務所へ行った。今月いっぱいで退去することを言いに行ったのだ。契約は11月末までなので、1か月分をまだ払う必要があるのかどうか確認する意味もあった。元妻は今月末に、僕は11月初旬に退去する予定であると告げると、事務所の女性は11月分は払わなくてもいいと言ってくれた。2年前に払ってあった保証金は、退去してから返してくれるそうだ。

もちろん元妻もこのことを知っている。月末には新しい場所に引っ越すように言うと、彼女は「わかりました」と答えた。そして自分たちの所有している家具や電気製品をどう分けるか、彼女の希望を聞いた。欲しいものは全部あげるつもりでいると僕は約束した。犬を欲しいかどうかも改めて確認した。もちろん欲しいが、自分の経済力では無理だと彼女は答えた。昨日の朝、そのようなやり取りがあったのだった。


2~3日前のことだ。彼女は「日本に行きたい」と言った。一瞬、僕と旅行したいのかと思ったが、そうではなく、日本に仕事に行きたがっているのだった。それもノービザで入って2週間滞在し、その間だけ仕事をするのだという。そして稼ぎは1日8000バーツだという。8000円じゃなくて、8000バーツ!約3万円だ。仕事はマッサージ。僕は一瞬あっけにとられた。ありえない。この際きちんと説明してあげようと思った。

まずノービザで入って仕事はできない。違法行為だ。次に、一日3万円稼げるマッサージは普通のマッサージとは思えない。カラダを売らなければそれだけの金額は普通は稼げない。もし日本に入ってその仕事を始めたとすれば、簡単にはタイに帰れない。すぐオーバーステイとなる。そして捕まらなければ、何年かそのまま仕事を続けることになるだろう。途中で形式的に日本人と結婚してビザを取得する可能性もあるけれど、いずれにしてもマトモなことではない。

僕が驚いたのは、今だにそんなルートでタイ人の女が日本に入っているのか、ということだった。20年、30年前と同じではないか。しかも、2週間ならノービザで滞在できるようになって、前よりももっと簡単になったのかもしれない。

「カラダを売らなければ、それだけの金額は稼げないよ」と言ったら、一瞬考えた彼女は「仕方ないでしょ」と答えた。もう妻ではないから、どういうことをしようと彼女の勝手だが、僕はその筋の内情にある程度は通じているから、とてもお勧めはできない。うまくやる女もいて、ひと財産を築くのもいる。酷い男に弄ばれて、お金をかすめ取られる女もいる。いずれにしても、マシな男と出会わない限りは、言ってみればある種の裏社会で生きていくことになる。

日本に行きたいと言い出す前は、韓国に行きたいと言っていた。それもある韓国人から誘われたのだという。日本人も韓国人も、ゴルフの客として彼女と出会ったのだろうか?僕は違うと思っている。タイ人の紹介で韓国人や日本人と話したのだと思う。あるいは、直接はまだ話していないかもしれない。タイ人からの話だけかもしれない。この手の話は当然タイ人が間に入っているから。

いつも目先の事ばかり考える彼女。お金の話ばかりだ。一緒に暮らした2年間もそうだった。それが嫌で僕は別れる選択をしたわけだ。もう30をとっくに過ぎたのに、いつまでたっても彼女は変わらないのかもしれない。僕自身の幸せということだけを考えれば、やはり僕の選択は間違っていなかったと思う。彼女のために、僕の残りの人生の時間とお金を注ぎ込むという選択もあったかもしれないが、さすがにそれはやめた。

いよいよ別れの時間が迫ってきたようだ。

(10月16日、10時45分)


切り替えの速さがタイ人だ

昨日、彼女が僕との別れを思って感傷的になっているかのような記事を書いた。彼女の涙がまだ乾かないうちにと言えば大袈裟だが、一日も経たないうちに見事な転換を見せた。

昨日キャディーの仕事をした後、彼女はお姉さんの車に乗って住まい探しに出た。夕方帰ってきて開口一番、「住むところを決めてきましたよ」・・・とにかく速い。決心したらすぐ行動する。これは彼女だけでなく、多くのタイ人女性に当てはまる特性だと言わなければならない。

今の家から車で5分のところだ。ご丁寧に正確な場所を教えてくれた。僕が新居の場所を彼女に秘匿しているのとえらい違いだ。契約したのは新築の一戸建て住宅。と言っても、寝室はひとつしかない小さな家だが、屋根付きの車庫もある。家賃は1か月3,500バーツだそうだ。大丈夫かな・・・?

速いと言えばKの決断もそうだった。今はバンコクで研修中だが土曜日にはチェンマイに帰ってくる。何が速いかと言えば、帰ってきたら早速僕と同居したいと言ったのだ。しかも、新居に引っ越すまでの間は今の僕の家で寝たいというのだ。離婚した彼女は月末まではここにいるというのに。

しかし不自然に拒否すると、Kも「何かある」と感じとるだろう。そうでなくても、この前LINEで会話中に元妻が割り込んできたわけだから、本当は何かあるに違いないと思っているはずだ。いや、実際Kは昨日ストレートに僕に聞いた。

「どうやらアナタはワタシをご自分の家に来させないようにしているみたいですけど、一体家には何があるんですか?」

まさか、「女が一人います」とは言えない。でもKの性格の良さなのだろうか、僕が何も答えなくてもそれ以上は追及してこなかった。僕の勝手な思い込みかもしれないが、彼女は怪しいと思っても相手を追い詰めない。性格のいい女だなぁ、と評価値が上がった。

このところは毎日歯の浮くようなことばかり書き送っている。たとえば・・・

「僕の残りの人生をかけて、貴女が幸せになるように頑張ります」

もちろんタイ語で書くわけだが、こんな言葉をこの歳になってから本気で吐き出すなんて、夢にも思っていなかった。なぜKに惚れてしまったのか、僕にもよく分からないし、なぜKが僕を好きになったのかも全然わからない。

33歳のKは、高校を出てからこれまでいろいろな仕事に就いてきたらしい。ところが今度のように会社勤めをするのは初めてだという。2週間の研修ももうすぐ終わるので、昨日は健康診断があったそうだ。それにはクスリのチェックも含まれていたという。クスリとは、もちろん覚せい剤のことだ。研修中にそこまでチェックするのは、いかにもタイらしい。日本では考えられない。

初めて大きな会社の正社員になると同時に、得体の知れない日本人の爺さんの女になるかもしれないという運命を、彼女は2週間ほど前までまったく想像もしていなかったはずだ。

それにしても、タイの女は決断がすこぶる速い。気持ちの切り替えも速い。これまで付き合った女は例外なくそうだ。僕も考えたり迷ったりするより前に行動するタイプだから、案外ウマが合うのかもしれない。

(10月17日、7時)

さようなら、チビ

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今朝早く、チビが死んだ。6年ほど前、サラピーの家に迷い込んできて家族の一員になった小型犬だ。亡くなった妻は我が子のように可愛がり、チビも本当の母さんのように慕っていた。年齢は7歳くらいだと思う。人間でいえば45歳くらいだろうか。妻は44歳で亡くなっているから、だいたい同じくらいの感じだ。

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亡き妻とチビ(4年前)

昨日、夕方家に帰ったら、チビと、もう1匹のチワワが隣の家の庭に入っていて、お隣のブルドックがチビに噛みついていた。僕が帰る直前に、元妻が門を開けっぱなしにしたまま外に出ようとしたらしい。チワワはお隣のブルドックと仲良しなので、隣の門の隙間から入り込んで一緒に遊ぼうとしたらしい。チビはそれを見て、チワワが危ない目に遭うのではないかと思って、助けようとしたのかもしれない。自分も隙間からお隣の庭に入り込んでしまった。チビが入ったのは昨日が初めてだった。

ブルドックはあっという間にチビに噛みついた。隣の門は施錠されていて、飼い主はいなかった。元妻は守衛さんを呼んだ。チビの激しい泣声が近所中に響き渡ったので、たくさんの人が駆け付けてきた。でも守衛さんや建築作業員の人が長い棒を持ってきてブルドックを離そうとしても、頑として離さないどころか、チビを力一杯咥えたまま、庭の中を引きずり回した。その姿を僕も一瞬だけ見た。

「あっ、咬み殺される!」・・・僕はあまりの衝撃に過呼吸になって、動けなくなった。元妻は「落ち着いてください。そんなに取り乱したら心臓によくないし、血圧も上がりますよ」と、えらく冷静に声をかけてくれたが、目の前が真っ暗になりそうだった。

「チビは亡くなった妻の形見のような犬なんだよ・・・アンタわかってるの・・・?どうして放したんだよ。あれだけ言ってたのに!」

そのようなことを叫んだと思う。彼女を責めている場合ではなかった。ようやく我を取り戻して、自分の庭にあったリール付きの長いホースを伸ばして放水しようとした。でもあまりにも慌てたので、ホースを引っ張り過ぎてリールが壊れてしまった。建築作業員の若いお兄さんがきて、ホースを直接蛇口につないで隣の庭にいたブルドックに放水したらしく、ぐったりしたチビが我が家の庭に運び込まれてきた。

僕はとにかく動転していようが何だろうが、車のエンジンをかけた。元妻がチビをだっこして車に乗せた。

「まだ息がありますよ。チビ・・・がんばって!」元妻はチビに声をかけた。僕は半分泣きながら大急ぎで犬の病院を目指した。チビの息をする音はハッキリと聞こえていた。夕方のラッシュの時間帯だったが、そんなことはお構いなしに、救急車のつもりになって他の車を追い越して走った。

「外側の傷は大したことないですが、多分内臓から出血してるので、レントゲンを撮ります」

30代と思われる女医さんだった。落ち着いた感じの獣医さんで、レントゲンを撮った後、丁寧に説明してくれた。

「やはり腸から出血しています・・・・今日中に手術になると思います。助かる可能性は50%だと思ってください・・・朝は9時から面会できます」

それ以外のことも話してくれたが、僕の能力では理解できなかった。元妻によると、もし手術がうまくいって回復に向かったとしても、2週間くらいは傷口や中が化膿するなど、危ない状態が続くということらしかった。もちろん、その間は入院となる。

夜9時頃に女医さんから元妻に電話がきた。「手術は終わったが、どうなるかはまったく予断を許さないので、様子を見ます」ということらしかった。

朝、7時ごろ、僕が病院へ行こうとしたら、元妻は「医者から電話がないので、大丈夫だったんですよ」と言って2階に姿を消した。ちょうどそのとき、彼女のお姉さんが別の用事でやってきて「チビがいないけど、どうしたの?」と僕に聞いた。事情を説明すると、お姉さんは大急ぎで元妻を呼んで何やら怒鳴りつけた。そしてすぐバイクに彼女を乗せて走り去った。

すぐに元妻からLINEの着信があった。「チビは死にました。事故に遭ったんですよ、事故。」彼女は「事故(ウバティヘート)」という言葉を何度も繰り返した。

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夜中の2時ごろに死んだらしい。人間ではないので、医者も大急ぎで知らせはしなかったのだろう。僕はすぐに病院へ行って亡骸と対面した。顔を見ると、苦しんだような感じはなく、安らかに眠っているようだった。写真をたくさん撮ってから、治療代の残りを払い、亡骸を段ボール箱に入れてもらっていったん僕一人で家に連れて帰った。元妻はお姉さんのバイクで仕事に行った。

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家でひとり待っていたチワワは、死体の入った段ボール箱から離れなかった。ときどき臭いを嗅いだり僕のほうを悲しそうな目で見た。

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チビとチワワのレックはときどき喧嘩することもあったが、大の仲良しだった。昨日の夕方からチビの姿が消えたので、レックはまったく元気を失っていた。多分、亡骸の入った箱の臭いを嗅いで、レックはチビが死んだことを悟ったのではないかと思う。

チビの死体は、お昼ごろにお姉さんに案内してもらって、ペットの火葬をしてくれる公的な場所まで運んだ。動物の病気を研究している施設で、その中に火葬をする設備があるのだ。

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元妻はさきほど仕事から帰ってきて、「チビが死んだのはアナタの責任です」と言って僕を責めた。妻以外に女を作るからこんなことになったのだと。2年半前に妻が亡くなったのも、外に女を作ったからだとも言った。まさか、その相手の女からそのようなことを言われるとは、僕は自分の耳を疑った。

仮に元妻の言う通りだとしても、当人から言われる筋合いはない。そんなことより、「犬2匹を外に放したことをゴメンなさい」と、嘘でもいいから一言だけでも謝りの言葉を口にしてほしかった。彼女が門をきちんと閉めていれば・・・という気持ちを僕はどうしても拭い去ることができないでいる。そして、僕があと5分早く家に帰っていれば、きっとこんなことにならなかったと、自分を責める気持ちがなくならない。もし途中でセブンイレブンに寄らなかったら・・・と思うと、胸が張り裂けそうだ。


チビ、ありがとう。本当にありがとう。チビのおかげで、僕のタイでの暮らしに潤いがもたらされた。きっと亡くなった妻がチビを連れて行ったに違いないと僕は思うのだ。

「どうやらアナタには本当に愛し合える女ができそうですね。ですからワタシの所に来るのは少し先になりそうですね。ワタシも寂しいので、チビを頂戴するわね」・・・そんな風に亡き妻が思っているような気がする。

僕は残されたチワワのレックを危険な目に遭わせないように、大切に守っていくよ。

いのちは、生きているから意味があるんだよね。でもチビ、お前は亡くなった妻が愛していたというだけの理由で特別のいのちだったんだ。だから、たとえ死んでも、永遠に僕の心の中で生き続けることだろう。

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(10月18日、17時20分)

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チビの死がもたらしたもの

17日木曜日の夕方、お隣のブルドックに咬まれ、金曜日の未明に息を引き取ったチビ。あっという間の出来事だった。もし病気にかかって、治療を続けたあとに死んだのなら諦めもつくかもしれない。突然の“事故”は辛すぎる。何かの事故や災害で家族を失くした人の言い知れぬ悲しみが、この歳になって初めて少し分かったような気がした。

土曜日は、バンコクの研修から帰ってくるKと会う約束をしていた。数日前、「僕たちの記念すべき日にするために、ホテルに1泊してみようか」と提案したら、KはアッサリとOKした。すぐに郊外の瀟洒なホテルを予約した。

もしチビが入院したままの状態だったら、土曜日はどうしていただろうか?チビを放っておいて、Kとの逢瀬を楽しんだだろうか?それは仮定の話だから、どうなっていたか分からない。その日はけっこう迷った末に、チビの死を忘れるためにもKと会うことにした。

ところが、いつまでたってもKは約束したホテルに来なかった。その逆に、元妻からはこんなLINEメッセージが入ってきた。

「今アナタがどこに居るか分かりませんが、ワタシはアナタの世話をしたいです。なぜなら、アナタを今も愛していますから」

Kは来ない。元妻は僕を愛しているという。さて困った。激しく心が揺れた。でも、何だか自分がバカみたいな気もした。Kが来ないので、夜一人でホテルの近くのレストランで食事を始めた。亡くなった妻とも、元妻とも何度か来たことのあるタイレストランだ。ウエートレスはみんな若くて色っぽい。広い店内を見渡すと、男一人という客は僕しかいない。ウエートレスと目を合わせると、みんな意味ありげな視線を送ってくる。

食べ始めて1時間、KからLINEが来た。「今どこにいるの?」・・・昼過ぎに会う約束だったのに、もう夜8時を過ぎていた。

Kとビールを3本飲んで、彼女も少し食べて、ホテルに一緒に戻った。そして予定通りの行動をした。寝る前に1回、朝起きて1回。でもちょっと違和感があった。元妻とお勤めするときのような感じとはだいぶ違う。でも、「こんなものかなあ」と思って、とくにガッカリしたわけではなかった。それよりも、彼女の早口のタイ語が気になった。よく分からないのだ。言っていることが。

その翌日は、彼女が勤める会社に初めて出勤する日だった。夜8時までの勤務で、僕は7時にはその近くに行って待っていた。そして一緒にまたビールを飲んだ。ところが、そのあとが問題だった。別れる前に、駐車場に止めたあった僕の車の中でくっついて話をした。

「車のガソリン代がないので困ってるの・・・」

それまで、お金のことで彼女が僕に助けを求めたことが一度だけあった。彼女が会社の研修でバンコクにいるとき、2000バーツ銀行振り込みで貸してあげたことがあった。「チェンマイに帰ったら返します。ありがとう」で終わっていた。

ガソリン代が払えない?そんな財布の状態でどうして車に乗っているのか?でも困っているなら助けるのが紳士の作法なので、財布から1000バーツを取り出して渡した。すると「これで給料日の月末までもつかしら?」と言った。僕はあれっ?と思った。月末までの10日分のお金が欲しいというのだろうか・・・

「前に貸していた2000バーツもあるよね」と僕がハッキリ言うと、彼女は、「ありゃー、そんなことを言うの・・・」と驚いたふりをした。2000バーツは貸したのではなく、あげたことになっていたようだ。それはそれで構わない。でも関係を持った途端にお金のことを持ち出す彼女を見ると、「ああ、やっぱり」という思いがした。誰も彼も同じだね。結局は男は金ズルに見えてくるのかもしれない。

その日の夜、僕は夢を見た。亡くなったばかりの犬のチビが出てきて、僕にタイ語でこう言った。

「おとうさん、M(元妻の名前)を捨てたらダメです。ちゃんと面倒見てあげてください。僕のお母さん(亡くなった妻)も、そう望んでます」

チビの一言で僕は我に返った。でも、こんなことが本当にあるのだろうか・・・犬が亡き妻の想いを伝えてくることなんて、とても信じられない。でもそうだったのだ。夢は人の深層心理をあらわすものだと言われている。とすると、僕は結局は元妻を捨てられない運命にあるのだ。そして今日、僕はその夢に出てきたチビの言う通りに行動した。

自分の行動力に、自分でも驚いた。とにかく速い。僕と元妻の2人と、もう一匹の犬が住む新しい家をすぐに見つけた。チェンマイ市内に手付金を払っていた家はキャンセルした。お金の問題ではない。明日はその家の契約をすることになっている。今の家よりもだいぶ市内寄りだが、彼女の勤めているゴルフ場までは9キロなので仕事に支障はないだろう。それよりも、僕の求めていたような理想的な住宅だった。

「女を追いかけているよりも、こういう家でお前さんと犬と一緒に暮らすほうがよっぽど楽だということが分かったよ」

「なんですか?アナタは今頃やっとわかったのですか?」

また仕切り直しだ。考えてみれば、2年以上前からこんなことばかりやっている。結局は彼女と離れられないのだ。でもチビは命を賭してまで、そのことを僕に伝えたかったのだろうか?とにかく彼女とは別れられないことはこれで分かった、としか言いようがない。やれやれ。この3か月間はずいぶんと浪費したものだ。でも、得たものも大きいかもしれない。

でも待てよ。別れるからと言って彼女にあげた〇〇万バーツはどうなるの・・・・

ついでに言うと、そろそろこのブログも打ち止めにしようかとも思っている。なぜなら、もう書くほどのドラマチックな展開はないかも知れないから・・・

(10月21日、午後10時)

月末の引っ越しで決定

昨日見つけたばかりの新居の手付金を払いに行ってきた。家賃は1か月13,000バーツと、いま住んでいる家の8,600バーツよりはだいぶ高い。でも、家の間取りや造作は比べ物にならないくらい、良い。

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築4年ということだが、ぱっと見たところでは新築に見える。

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内部も文句なく素晴らしい。寝室が3つ。トイレ・シャワーも3つ。広めのリビングと台所がある。家具や電化製品は、エアコン3台を含めて全て揃っている。

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その家で手付金の13000バーツを支払った。右側はこの家のオーナーの男性で、何と、このムーバーンの設計・施工・管理をしている会社の人だった。彼が言うには、4年前に新築したときの価格は約300万バーツだったそうだ。土地は狭いのに、べらぼうに高い。でもそれだけ良くできていることは素人の僕でも分かった。

このようにお金のやり取りをするときは記念写真を撮るのがタイの正式のやり方だ。この儀式をやる会社は、今ではそう多くはない。

オーナーは32歳。僕は68歳。仲介をしてくれた会社の女性(30歳くらいの美人)によると、彼は奥さんとミアノイを合わせて女性が3人以上いるのだという。すると、僕の隣にいた元妻の彼女が「この人もたくさん女がいるんですよ」と余計なことを言った。今はもう一人しかいないのに・・・

月末にさらに2か月分を支払って正式の賃貸契約を結ぶことになる。きっとまた記念撮影があるのだろう。

彼女は友達に新居の場所や間取りを教えて喜んでいる。もし僕と本当に別れていれば、家賃3500バーツの1Kの住宅に住むことになったはずだ。実は2日前に僕はその住宅を見に行った。「ええ・・・?こんなところに住むの?いくらなんでも可哀そう」と僕は思った。それも、彼女とヨリを戻そうと思った理由のひとつだ。

こんなふうに彼女と復縁する陰にはTとKの存在がある。Tとは今でも友達付き合いをしようと思えばできる関係にあるが、最近知り合ったばかりのKは、一体何が起こったのかさっぱり理解できないだろう。きちんと説明した方がいいのか、それとも突然の断絶にしておいた方がいいのか、女性を切り捨てた経験があまりなかったので、少し迷っている。放置するのがお互いのためかな・・・いや、そいうわけにはいかないだろう。

(10月22日、午後7時50分)


1杯のフルーツジュース

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今朝、彼女がこれを作ってくれた。リンゴとキウイの混ざったジュースだ。もう何か月ぶりだろうか。いや、今年になって初めてかもしれない。去年は必ず毎日作ってくれていた。

昨日、新しい住まいの手付金を払ったあと、2人でスーパーへ行き、夕食用の買い物をした。彼女がリンゴとキウイを選んでカートに入れた。急に思い出したのだろう。何事もなく平穏に2人で暮らしていた頃のことを。

夕食のあと、「今日もお勤めをしますか?昨夜もしましたけど・・・」と彼女の方から聞いた。答えるまでもない。そして彼女はお勤めのあと、これも珍しく一緒のベッドで寝た。「明日は仕事がないので、早く起きる必要がないから・・・」と、一緒に寝る理由をわざわざ言った。鼾がうるさいだろうから、彼女は本当は別の部屋で寝る方がいいに決まってる。

「新しい家ではどうするの?一緒に大きいベッドで寝るの?」

「いいえ、お互いにゆっくり眠るために、ワタシは別の部屋で寝ます」

きっと、それがいいだろう。大きい方の寝室には、たまには別の女が来るかもしれないから。もし仮にそのような事態が発生しても、案外彼女は平気かもしれない。僕に他の女がいるかどうかよりも、自分の生活の安定を優先するに違いない。彼女はそういう女だ。彼女が付ける理由は、「アナタが自由に生きるために」・・・自由とは便利な言葉だ。

昨夜彼女が僕の隣で眠った後、久しぶりにTからLINEが入ってきた。

「友達がゴルフのタダ券をくれたので、アナタにあげます。ワタシは車がないし、そこは少し遠いので、タクシー代もかかります。だから、アナタが使ってください」

チケットの画像を見ると、2か月前まで僕が会員になっていたゴルフ場だった。タダと言ってもグリーンフィーだけで、キャディー代やカート代はかかる。有効期限は今月いっぱいだった。僕はあまり考えずにすぐに返事した。

「そのチケットは貴方が使いなさい。僕は自分の分は自腹で払うから、一緒に行ってあげます」

「ワタシを迎えにきてくれますか?」

「いいよ、それぐらい」

ということで交渉成立。僕はとくにゴルフがしたいとは思っていないが、きっとTは僕に会いたいのだろう。今では友達としてなら会うことができる。だから、今朝、元会員だったゴルフ場に電話して2人分を予約した。

僕は知っている。Tは今も僕に未練があることを。僕のカラダに未練があるし、僕のお金にも未練がある。ごくたまに、フィットネスクラブで会うことがあって、お互いに挨拶はする。でも食事をしたり、ゆっくり会話することはない。きっと、話したいこともあるのだろう。

男と女として付き合っていた8月のある日のこと。アパートで一緒に食事しながら、Tはこんなことを言ったことがある。

「アナタとは友達付き合いするのが、お互いに最良の関係かもしれないわね。でもお互いにブレーキが掛けられなかったのね」

勘のいいTは、僕が今も元妻と一緒にいると考えているだろう。それを確かめたいのだろう。もし別れているのなら、僕とヨリを戻したいと思うだろう。でも彼女の言葉通り、お互いに友達同士でいられれば、それが最良だと僕も思う。

(10月23日、9時30分)

復縁の理由

彼女は、セックスの相性がいいから僕が復縁したと思っているかもしれない。それはあくまでもカラダの相性の問題だ。だから僕に2人、3人と他に女がいようとも、一番相性のいい自分を抱いてくれて、生活の面倒もみてくれれば我慢できるわけだ。

彼女自身、僕とのセックスは感じがいいのかもしれない。なにしろ、その方面での開発者が僕だったと思う。セックスの相性は男と女を結びつける、とても重要なファクターだから。でも、復縁の本当の理由は、もう少し違うところにあるということを書いておこう。

亡くなった妻と、亡くなったチビがどうしても関係してくる。

亡くなった妻は、僕がキャディーの彼女と付き合っていることを生前知っていたと思う。そして悩んだだろう。末期がんに苦しみながら、妻が下した結論は「自分はもうすぐこの世を去ることになる。この際、夫にほかの女がいることを許そう。気持ちとしては許しがたいけれど、この人(僕)は自分が居なくなったあと、一人で生きていくわけにはいかないんだから、別の女が必要だ・・・」

それは彼女にとっては胸が張り裂けそうに痛むことだったが、僕への愛がその痛みを乗り越えさせてくれたのだと思う。だから、最後まで恨みつらみを言わなかった。勘のいい妻の瞼に浮かんだのは、まさに今一緒にいる彼女の姿だっただろう。妻と彼女はゴルフ場で何回も会っていたのだから。

チビはどういう関係があるのだろうか?

チビにとっては亡くなった妻がお母さんのような存在で、他の誰よりも慕っていた。僕などが割って入る余地がないくらいに、チビにとっては彼女は特別な存在だった。その代役を務めたのが今の彼女なのだ。だから、チビが死んだあと、僕の夢の中に出てきて「彼女を捨てたらダメだよ。お母さんもそう思っているよ」と言ったのは頷けるわけだ。もっとも、チビを死に追いやったのは、門の扉を開けっ放しにした彼女の不注意だ。だから彼女を恨んでいてもおかしくはないのだが、これも運命というものだったと思う。

今の彼女は、亡くなった妻のようには僕を愛していないだろう。愛情よりもお金の方に重きを置いていることは、今も変わらないと思う。かと言って、単に僕を利用しようと思っているだけでもない。男女の仲は、それほど単純なものではない。いろいろな要素が複雑に絡み合っているのが男女の仲だ。割り切って考えれば、お金で済めば安いもんだ。この際そう考えて彼女と復縁することにした。

ここ2~3日の彼女を見ていると嬉しそうで、それに応えようとしている。まずセックスをしようとすること(笑)。つぎにお金のことを言い出したくても口にしないこと(今月は今日までのところ、ほとんどあげていない)。そして、決して好きではない家事をしようと努力していること。

しかし・・・復縁の理由が亡くなった妻や犬のチビの想いに応えるためだなんて、一体誰が信じられるだろうか。ま、それほどまでに、前の妻やチビを僕が心の底から愛していたからだと思うのだが、何か変かな・・・???

(10月24日、午後8時45分)

ゴルフの後はお説教?

昨日は久しぶりにTとゴルフをした。これで3回目だ。前の2回は“男と女”として付き合っていた時だったが、今回は“友達”としてゴルフした。

Tは前よりも調子がよく、ドライバーは220~30ヤードくらい飛ばしていた。女性だけれど、僕と同じ白杭のTグラウンドから打っているのに、ほとんどのホールで僕をオーバードライブした。でも、彼女にとっては初めてのゴルフ場ということもあって、スコアは僕の方がよかった。僕にとっては2か月ほど前までメンバーだったゴルフ場だから、簡単に負けるわけにはいかない。

ゴルフの後、近くのラーメン屋で食事した。僕はチビが死んだことを彼女に話した。写真も見せた。そしてチビの死がキッカケとなって、僕は元妻とこれからも一緒に暮らしていくことに決めたことを話した。

Tは、チビが隣の犬に咬まれた経緯に興味を持った。というのは、Tが飼っていた小型犬も、近所の大型犬に咬まれて死んでしまったので、他人事とは思えなかったのだろう。「お隣の人は責任をとって何らかの補償をしてくれたの?」と訊くので、「チビがお隣の庭に入り込んで咬まれたので、向こうに責任はないと思う。ただお隣のイタリア人はえらく恐縮していた」と答えた。

チビの話題が片付くと、そのあとTは延々としゃべり続けた。元妻のことだ。

「貴男が彼女とこれからも一緒に住むと決めたのなら、それはそれでいいですけれど、彼女の歴史(ヒストリー)を良く調べたことがあるんですか?つまり、彼女の素行を調査したことがありますか?」

まるでT自身が僕の元妻の過去を全部知っていると言わんばかりの言い方だった。でもよくよく聞いていると、彼女の素性を知っているのではなく、“若いキャディー”の一般論を、しかもかなり偏った一般論を述べていることがわかった。つまり、若いキャディーの多くは男癖がよくない。彼女たちは、とくにお金のありそうな外国人に取り入って、愛人になったり妻になったりするチャンスをいつも窺っているというのだ。

「40歳を過ぎたようなキャディーなら問題ないですよ。もう他の仕事に就くのは難しいから、それは仕方ない。でも20代とか30そこそこの若い女は、別のキャリアを求めて努力すべきですよ。男目的にキャディーをやるというのはどうなんですか?彼女は今もキャディーをしてるんでしょ?」・・・Tの言っていることは半分正しいが、半分は偏見に基づく思い込みに過ぎない。

さらにTは、会ったこともない元妻をぼろ糞に批難した。

「今はいいですよ。貴男が元気なうちは。でももっと歳をとって、カラダが言うことをきかなくなったとき、彼女は貴男の面倒を見てくれるんですか?もし、貴男にお金がなくなっても、彼女はずっと寄り添ってくれるとでも思ってるんですか?貴男が40歳とか50歳くらいだったら問題ないですよ。でも60を過ぎてるでしょ(「いま68歳だよ」、と一言割り込んだ)。 年齢差が30もあれば、それはお金目的ですよ。お金がなくなれば、それで終わりです。第一ね、ほかに女がいても構わないとか、自由をあげるとか、そんなことを言う女は間違いなくお金が欲しいだけです。」

僕は内心、「俺を誰だと思ってるんだよ。亡くなったタイ人の妻と15年も一緒に暮らした経験があるんだよ。亡くなった妻は、タイ人の女の裏側について、ありとあらゆることを僕に話してくれたよ。もうそんな一般論はいらないよ・・・」と思って聞いていた。もちろん、そんなことは思っているだけで、僕は決して口には出さない。

確かにTの言うことは一般論としてはその通りだろう。でも一緒に暮らしている元妻が、単に金目的だけなのかどうか、それは他人が断定できるものではない。それに、Tは何のために今さら元妻を批難するのか、その動機がよくわからなかった。

仮に僕とヨリを戻したいのだったら、もうちょっと別の話題が適しているだろうし、単なる親切心からだったら、自分もタイ人の女なんだから、もうちょっと一般論とは違う言い回しがあってしかるべきだ。Tの話を聞きながら、「キミだって半分はお金目的だったんじゃないの?僕たちもちょうど30年の歳の差があるんだよ」と内心では思っていたのが正直なところだ。もちろん、それも決して口には出さない。

Tは、まるで僕の心の中を見透かしているかのように続けた。

「亡くなった奥さんは特別にいい人だったことは間違いないわ。貴男から話を聞いたときにそう思ったの。でも、今の彼女は違うでしょ。きっと、いつか後悔するわよ。あのとき、ワタシと一緒に住むために犬を連れて引っ越ししていれば、チビも死ななくて済んだんですよ・・・貴男はね、一度決心したことをコロコロ変えるでしょ。つまり、貴男は心が弱いんですよ。だから心配なの。」

ほとんど一方的なTのお説教タイムが終わり、彼女をアパートまで送って行った。車を降りるとき、Tは「11月の末にアパートを変わりますので、そのときは引っ越しを手伝ってくれますか?」と言った。内心「ええ?ほかに手伝う人がいるんじゃないの」と思ったけれど、「わかった。その時は連絡ちょうだい」と言っておいた。やっぱり、Tはまだ未練があるのだろうか・・・・ま、それはどっちでも僕には関係ない。

そして今日もフィットネスクラブでたまたまTと会った。ヨガの美人インストラクターが途中から割って入ってきて、楽しく15分くらい日本の話をした。その美人の先生は東京には行ったことがあるのだが、今度は京都と大阪に行きたいそうだ。「いつでも案内しますよ」と言いたかったが、さすがにTの前では控えた。

(10月27日、午後3時)


チビが化けて出た?

チビが死んだのは10日前の今月18日の未明のことだった。ときどきチビが元気だったころの写真を見ると胸が苦しくなる。何と言うのか、単に可愛いという犬ではなく、とても感情の豊かな犬だった。

人間がある悪戯をすると、チビはいつも怒った。僕の場合は噛みつかれたことも何度かある。その悪戯とは、「チャップ・クワイ、チャップ・クワイ・・・」と繰り返し言いながらチビの下半身(ただし体の外側)を触ることだった。ある時からは、触らなくても「チャップ・クワイ」と言うだけで怒るようになった(チャップ=触る、クワイ=ちんちん)。このような顔になって怒るのだ。

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亡くなった妻が遊びでやりはじめた悪戯だが、なぜか噛まれたのは僕だけで、妻が同じことをやっても、怒った顔をすることはあっても決して噛まなかった。亡くなった妻を激しく慕っていたし、その後は元妻の彼女にいつもくっ付いていた。要するに、女にデレデレする犬だった。

それはさておき、チビが死んでから、ときどき僕は「チビ!」と呼ぶことがある。呼ぶと、すぐそばまで来るような気がするのだ。昨夜も、元妻がいる寝室のドアを開けて、「チビ、ここにおいで!チビ、チビ!」と叫んだ。生きているときは、2階の、元妻の寝ている部屋のドアの前に夜通し寝傍っているのが常だったから、僕としては、またそこに居てほしいという思いでチビを呼んだのだ。

ところが元妻の彼女はひどく怖がった。「チビを呼ばないで!本当に入ってきそうで怖いわ」・・・仲良くしていたチビがもし入ってきたとして、一体何が怖いというのだろうか?何か、後ろめたいことでもあるのだろうか?

そして昨日の夜、妻は眠れなかったのだという。「アナタがチビを呼んだからですよ。ほとんど眠れませんでした。夢の中に出てきたんですから!!!」

僕はてっきりチビが彼女の夢の中に出てきたのだと思った。ところが彼女は「とても怖かった」というので、不思議に思った。あれだけ仲良くしていたチビが夢に出てきて、どうして怖いのだろうか?可愛いではないか。たとえ怒った顔つきであったとしても・・・

よくよく話を聞いてみると、夢の中に現れた動物はチビの顔はしておらず、大きな猫のような動物だったという。その動物が怒った顔をして彼女を追いかけてくる夢だったという。

僕は、それはチビをしつこく咬み続けたお隣のブルドックではないかと思った。あの日、彼女はそのブルドックがチビに噛みついている様子をかなり長い時間見続けていた。僕はとても正視できず過呼吸になってうずくまってしまっていたが、彼女は冷静にチビとブルドックを見ていたはずだ。だから夢に出てきたのは、あのブルドックに違いない。夢では彼女がチビの立場になったのだろう。

タイでは、死んだ人の名前を呼んではいけないらしい。犬は人間とは違うのだが、それでも死んだペットの名前も呼んではいけないのだと彼女は言う。「チビ、チビ!」と、ときどき僕が呼ぶのはダメだと彼女は言う。僕がそれをするから、彼女の夢の中に怖いものが出てくるのだと主張する。

僕自身はチビの名前を呼んで、夢の中でも現実の中でも、もしチビに会えたら、たとえそれがチビの幽霊であっても、僕は嬉しいと感じるだろう。亡くなった妻の名前を呼ぶことは今はないけれど、呼ぶことによって夢の中で会えるのだったら、僕は毎日でも呼ぶだろう。

チビ、チビ、チビ~! 会いたいよ~!! きっと、亡くなった妻の傍にいるよね!!!

(10月28日、午後3時)

プロフィール

Niyom

Author:Niyom
2012年、60歳でチェンマイへ移住。2017年にタイ人の妻を病気で亡くした後、愛人だった若いタイ人女性と再婚、前妻が可愛がっていた小さな犬2匹も一緒に暮らしていたが・・・

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