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騙し合いと疑心暗鬼

4月10日(火)

毎日タダの電子書籍を読んでいる。

朝起きて最初にすることは、ケータイをオンにしてKindle(電子本を読むためのamazonのアプリ)を起動すること。今朝は、昨日から読み始めた谷崎潤一郎の「卍(まんじ)」を残り1時間余りで読み終えた。

谷崎潤一郎に関しては、若いころに「細雪(ささめゆき)」という、それほど刺激的ではない長編小説を読んだ記憶があるが、それ以外はなかった。一昨日、谷崎の代表作のひとつである「春琴抄」を一気に読んでみたところ、あまりにも面白かったので、続けざまに「卍」をダウンロードした。

この小説は主人公の「園子」が正体不明の「先生」に語り掛けるという会話のスタイルで書かれている。しかし、隅から隅まですべて関西弁なので独特の言い回しがほとんど。関西の言葉に慣れない人には非常に読みづらいと思う。僕は関西弁を23歳まで日常的に使っていたので、読み進むうちに会話の調子を思い出して慣れた。

ここで読書感想文を書くつもりはないけれども、Wikipediaに書いてある“あらすじ”が信じられないくらいつまらないので、知らない人のためにちょっとだけ筋を書いておこう。


園子は弁護士を夫にもつ若い主婦だが、絵画などの習い事を学ぶために女学校に通っていた。そこで知り合った色白で妖艶な光子という自分より少し歳の若い独身女性に恋心を抱き始める。

園子は自分が学校で描いた絵を完成させるため、光子を自宅の寝室に呼びモデルにさせ、そのまぶしいばかりの裸体を目にする。それ以来、園子は寝室を共にしながらも性的な関係が希薄になった夫を騙しながら、自分を「姉さん」と呼ぶ光子と深い仲に嵌っていく(嵌められていく)。

ところが、独身の光子には園子に隠していた男が一人いた。その男が光子に結婚を迫っていることなど園子が知る由もなかったのだが、ある日、光子がその男と密会していた宿で衣服を盗まれ、困った光子は園子の自宅に電話して助けを求めてきた。それがキッカケとなり、2人の女と男との奇妙な三角関係となり、やがては園子の夫をも巻き込んで、相手を疑い出せばキリのない無間地獄のような騙し合いの修羅場が展開する。

最後は、園子、光子、そして園子の夫の3人が心中を図るのだが、園子だけが生き残って、その間の事情を「先生」に長々と語りかけるという寸法だ。

wikipediaに書いてあるような、「同性愛と異性愛」がテーマだとは僕には到底思えない。ずばり、表題に書いたように、女と女、男と女の「騙し合いと疑心暗鬼」を描いた小説だと思う。読むうちに、タイ人の女と日本人の男の恋愛や結婚に当てはめてもいいような、奥の深い騙しの技巧や、相手を疑い出した時の深い闇をイヤでも感じざるを得ない。

相手を信じたかと思ったら、次の日には疑ったり・・・人間心理の描写が実に心憎い作品だ。それにしても徹頭徹尾、大阪弁の会話で貫かれていることが、この作品に妙なリアリティを与えているような気がする。


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プロフィール

Niyom

Author:Niyom
身を削って過ごした30余年のサラリーマン生活にピリオド。ここチェンマイに移り住んでからも、楽しいこと辛いこと、いろいろとありました。でも、それは全部過去のこと。人生、どこまでリセットできるものなのか、自ら実験台になって生きています。

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