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真夏の情事(1)

10月7日(土)

7月中旬のある日のこと、僕はいつになく長い時間パソコンの前に座っていた。タイ人女性にタイ語や英語でメッセージを書いていたのだ。20人くらいの女性に書いただろうか。そして僕が書く数よりも、もっと多くの女性からメッセージが舞い込んできた。

その頃彼女とは1週間に2回くらい会っていた。お勤めも、これまでのように欠かさなかった。しかし僕の中で大きな地殻変動が起きていた。彼女はそれを知る由もなかった。

それより少し前、僕は彼女に提案していた。

「僕たちは3年も付き合ってきた。歳は離れてるけど、この際、一緒に暮らすことを考えたい。」

そして彼女に僕の資産や懐事情、そしてこれからの見通しを説明した。これはプロポーズ以外の何ものでもなかった。僕は当然のように彼女が「レオテー(お好きなように)」と言うのを期待した。

確かに僕たち2人を取り囲む周囲の状況は平らではなかった。はい分かりました。すぐ一緒に住みましょう、と二つ返事でOKできるほど簡単ではない。それは分かってる。しかし、彼女の答えは僕にとって意外なものだった。

「私たち、愛し合ってるからいつかは一緒に暮らしたいと私も思ってます。でも早すぎます。一緒に住む前に、まず小さくてもいいから家がほしいです。それが出来るまでは一緒に暮らせません。5年くらいあとでいいです。それまでは、このまま会ってるだけでいいです。あなたが望むなら、毎日会ってもいいですよ・・・」

早すぎると言われても、僕はすでに60代も半ばだ。もうそんなに先は長くない、と思い始める年ごろだ。彼女は十分に若い。5年も待ったら僕は70代に入ってる。いくらなんでも、それは酷い。彼女に何か裏があるんじゃないかと疑い出した。

考えてみればもう3年以上付き合ってる。お勤めの回数はとっくに100回を超えて200回に近づいてる。そんな回数のことはどうでもよくても、僕たちは愛し合っている。だから一緒に住むのが自然じゃないか。それを5年くらい我慢しろだと・・・

僕が求めているのはセックスだけじゃない。もしそうなら、いくらでも相手は見つかる。それだけなら彼女の言うとおりにしてもいい。でも違う。愛し合ってる男女の行きつく先は、普通に一緒に暮らすことだ。僕は特別なことを求めていない。

ある日、単刀直入に彼女に聞いた。

「僕と家と、どっちが大事なの?」

すると彼女は案の定、すぐに返事しなかった。5秒くらいの間隔を置いてから、

「あなたの方が大事です。」

と答えが返ってきた。家が大事に決まってるじゃない、と冗談を言ってくれた方がよほどよかった。あの5秒の間隔が気になった。今にして思えば、僕の質問の真意をはかりかねたのだと思う。ふつう、そんなこと聞くわけがないし、答えも決まってるわけだから。

僕の猜疑心はどんどん膨らんだ。猜疑心と言うより、彼女がこれほどまでも自分の家を持つことに拘ってるとは思っていなかった。何はさておき、「自分の家」なのだ。「私たちの家、僕たちの家」と言ってもいいけど、実際は彼女の「自分の家」だ。お父さんとお姉さんと一緒に住んでる立派な家があるのに、どうしてそんなに欲しがるのか・・・

僕は新しい提案をした。3年以内に家は建ててあげよう。でもすぐは無理だ。それまでの間、借家かアパートで一緒に住むのはどうか。彼女のお父さんはもう年なので、近くの場所でいい。365日ずっと一緒でなくてもいい。自由にしていい。でも僕はキミと早く暮らしたい。

僕が譲歩したのに彼女の返事はあまり変わらなかった。もう少し我慢せよというのだ。でも少しじゃない。彼女は5年を3年に変えてきたけど、僕にとっては大した違いはない。3年間は一緒に暮らさないということだから。もうやめるか・・・という気持ちが急に芽生えてきた。

3年目の浮気という言葉がある。でもこれはそうじゃない。僕たちは恋人以上かもしれないけど、お互いを拘束する何かがあるわけじゃない。一緒に住んでないし婚約をしてるわけでもない。僕は自由の身だ。そう考えると、彼女に固執している自分が滑稽にも思えてきた。

彼女は相性のいいセックスパートナーかもしれないけど、一緒に暮らして老後を迎えたとき、ほんとうによかったと思える女性だろうか?

そして7月中旬のある日、タイではよく知られたインターネットの出会い系サイトを覗いてみた。出会い系といっても、昔すこしだけ垣間見た日本の出会い系サイトとはだいぶ様相が違って見えた。まじめに伴侶を求めるタイ人女性がほとんどのようだった。

そういえば、僕はタイ人の女性とそれほど付き合ったことがない。日本に居た時を含めて、せいぜい数人だ。もっといろんな女性と付き合ってから決めてもいいのではないか。ほかの女性と付き合ってみれば、彼女が自分に合っているのかどうか、もっと冷静に判断できるかもしれない。彼女への猜疑心と一緒に、そういう狡猾な思いが芽生えてきた。

これは天の声か、それとも悪魔の囁きか・・・そんなことを思案するいとまもなく、僕は出会い系サイトの登録メンバーになってしまっていた。

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実話ですか?

たまたま通りかかって薬の話から読ませていただいている者ですが、今日の話はこれは実話ですか、それとも創作ですか?
失礼かなと思いながら、ちょっと気になりましたので。

Re:実話ですか

バイアグラ男さん、
ご想像にお任せします。20代の彼女がいることも含めて。
プロフィール

Niyom

Author:Niyom
2012年、60歳でチェンマイへ移住。2017年にタイ人の妻を病気で亡くした後、愛人だった若いタイ人女性と再婚、前妻が可愛がっていた小さな犬2匹も一緒に暮らしている。

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