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吾輩はチビである(8)

5月1日(火)

今日は我が家の内情についての観察日記はお休みにさせていただく。その代わりと言っては何だけど、僕の日ごろの不満をこの場を借りて述べさせていただくことにする。そんな犬の不満など聞いている暇があるものかという読者諸氏は、貴重な時間を無駄にしないよう、どうぞ他のブログへ浮気していただきたい。

さて、僕がお父さんの車に乗せられてこの家にやってきてから丁度半年になる。初めは前の家に残してきたラッキーのことが恋しくて淋しい思いをしたこともあるが、犬好きの新しいお母さんと出会えて、だんだん此処が好きになってきた。今はチワワのレックレックと時々喧嘩しながらも、幸せな毎日を過ごしている。お母さんの作ってくれるご飯は美味しいし、お父さんは毎朝散歩に連れ出してくれるし、大概は満足している。

しかし、実を言うと大いに不満に思っていることがひとつある。それは、まだ寝室に入れてもらっていないことである。

前の家では、お父さんとお母さんが寝ている同じベッドに、まるで2人の間に生まれた赤ちゃんのように川の字に寝させてもらっていた。その様子を見た人なら誰でも、僕が2人の本当の子どもだと錯覚したに違いない。お母さんがいなくなってからも、毎晩お父さんの横で寝た。ところが、この家に来てからまだ一度もベッドの上で寝たことがないのだ。

僕は、お父さんと新しいお母さんの3人で一緒に寝たいから、ときどき2階の寝室の前まで行って「一緒に寝たいよ~」と犬語で甘えた声を出す。お父さんは僕の言ってることを分かってるくせに、わざと無視を続けている。お母さんはドアは開けてくれるけど、中には入れてくれそうもない。一度でもいいから、僕を一緒に寝させてくれたら、きっとお母さんも僕の効用がわかるようになるのに・・・

2階で2人が寝ているベッドはそれほど大きくはないクイーンサイズのベッドである。前の家のキングサイズに比べると20センチほど幅が狭い。狭いベッドだから2人がくっ付いて寝ているかというと、実はそうではないことを何故か僕は知っている。お父さんは寝る時もお母さんにくっ付きたいものだから、じわじわと体をお母さんの方に寄せていく癖がある。寄せて行くだけならまだいいのだけれど、いつまでたってもお母さんの体に触りたがる。だからお母さんはなかなか寝就けない。

それでどうするかというと、お母さんは体をお父さんの反対側に向けて、じりじりとベッドの端っこに寄っていく。見たことはないのだけれど、もうそれはそれは今にもベッドから落ちそうなくらいにギリギリのところまで逃げる。けっしてお父さんのことが嫌いではないにせよ、本当に眠ろうとしているときに体を触られるのは嫌なのだ。お母さんは男の人と四六時中べったりするのが好きなタイプの女ではない。ましてや本気で眠ろうとするときは、なおさらである。

此処だけの話だけれど、お父さんがお母さんに触りたがるのは寝る時だけではない。暇さえあれば、おっぱいやお尻、そしてなかなか直接的には言いにくい場所にも手を伸ばして、身に着けているものの上からでも触りに行く。お母さんは口に出して嫌とは言わないが、かといって喜んでいるようにはとても思えない。お父さんはどこかの国の高級官僚のように「胸を触ってもいいですか・・・」なんて言うことは絶対にない。大抵いきなりである。もちろんお父さんが触っても、まさかセクハラとか強制わいせつとか、準強制わいせつにはならないのだろうけど、朝でも昼でも夕方でも、お父さんがパソコンで遊んでいるときでも、お母さんが部屋に入っていくと必ず手を出してくるから困ったものだ。(と、お母さんは思っているだろう)

僕はせめて夜だけでもお母さんを安眠させてあげたい。もちろん、2人の邪魔をしたり、仲を引き裂いたりしたいと思っているわけではない。ましてや、あわよくばお母さんを寝取ってしまおうという、犬としての身分を弁えない大それた野望を持っているわけではない。しかし、僕がお父さんとお母さんの間で寝ることによって、お母さんは心置きなく安眠することができるに違いないと思っているのだ。確かにクイーンサイズのベッドは狭い。けれどもお父さんの体は大きいほうではないし、お母さんはもっと小柄でスリムだ。そして僕も小型犬だから3人でも十分に一緒に寝ることができる。

夫婦の寝室でのありかたは、その夫婦の行く末を暗示しているものだと僕は思う。長く仲良く暮らしていくためには、寝室が別なのはよくないと昔から言われている。でも、もっと昔は夫婦でも必ずしも同居していなかったという説もある。男か女のどちらかが、多分、暗い夜のことだから男の方だと思うけど、相方の寝ているところへ通ってきて愛欲を貪る、いや失礼、愛を確かめ合うということはごく普通に行われていた。タイでもよその国でも。だから、必ずしも同衾することがベストとは思わないけれども、近代になって夫婦は同居して同じ部屋に寝るのがノーマルとなったらしい。

ところが、現代になって、また別居というのも流行っているらしい。僕はそれは男と女が一緒に寝る価値をだんだん見出せなくなってきて、セックスレスをも何ら問題としない現代人のおかしな風潮だと考えている。

そのセックスレスの風潮だけれど、よく調べてみると世界の潮流ではなく、たとえばギリシア人やフランス人は1年平均で120回はセックスするそうだ。つまり3日に1回。この10年、20年のデータをみて明らかにセックスレスが顕著になってきたのはお父さんの国なのだそうだ。ところがそのお父さんはギリシア人やフランス人の平均よりも数をこなしているらしいから、統計というのはそれほど当てにならないのかもしれない。

つまり、長い歴史を通じて、夫婦というものは別々に寝るのはよろしくない、少なくともなるべく長く仲良くするためには一緒の部屋で寝るのがいいというのが人類が比較的最近になって発見した真理だった。でも一緒に寝れば何でもいいかというと、そうではない。僕のお父さんのように、いつでもどこでもベタベタするのは、女にとっては必ずしも望ましいことではない。だから、少なくとも愛欲を貪った後は、いや失礼、愛を確かめ合った後は、心置きなくぐっすりと眠るために、僕のような小型犬を間に挟んで寝ることを推奨したいのだ。ただし、チワワのような抜け毛の多い犬は健康のためによろしくないので、僕のような性格も見栄えも、清潔度も申し分のない小型犬と一緒に寝ることが一番なのだ。

僕の日ごろの不満の表明から始まって、最後は至って建設的な提案まで書き上げた。これをお父さんが採用してくれるとは到底思えないが、せめて読者の皆様は、僕の切々たる心情をご理解をいただけるものと思う。よって、そのような不憫な犬の思いを実現させてあげたいと思われたなら、最後にポチっとお願いしたい。ただし、僕はポチではなくチビであることはお忘れなく。



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No title

ここのところちょっとコメント遠慮してました。
私も同じように、のべつ幕なしに手を伸ばす方です。新婚当初はそれでいいとは思いますが、同じ部屋でもベットは別の方が良い様に私は思っています。特に私は寝返りが結構多いから横で安眠しにくいみたいです。ましてや寝ているときに手を出されるとどうなんでしょう?奥さんは解りませんが?大学時代の合宿で一人いびきの酷い奴がいて、全く寝られなかった。みんなで廊下へ布団ごと引っ張り出す毎日でした。
タイ人は一般的に寝るのが早く起きるのも早いが、私は寝るのが1時2時、起きるのは8時、寝る時間帯も大きく違うので特にそう思うのかもしれません。
する事だけして部屋は別が理想の様な気がします。
私の勝手な意見で~す。

Re: No title

alfaさん、おはようございます。

> ここのところちょっとコメント遠慮してました。

何しろ相手が犬なのですから、そのお気持ちはよくわかります。

> する事だけして部屋は別が理想の様な気がします。

理想を言わせていただければ、犬のように、あるいは昔の人間のように、「通い婚」がお互いの束縛が少なくていいのかもしれません。しかし、犬以上に人間の嫉妬心はおそろしく激しいので、男からすれば女が自分の目の行き届かないところに暮らしているのが耐えられなくなったのでしょうね。つまり男は色んな女に手を出してはいけないという男同士の勝手な協定のようなものができあがっていったというわけです。実際は、女の方がいろんな男に手を出すという現実があったと思われますが。そして現代も、また昔のように、そうなりつつあるわけです。だって日本もそうですよね。実は水面下に隠されていた“乱婚化現象”が顕在化してきたのでしょう。僕の勝手な意見で~す。
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Niyom

Author:Niyom
身を削って過ごした30余年のサラリーマン生活にピリオド。ここチェンマイに移り住んでからも、楽しいこと辛いこと、いろいろとありました。でも、それは全部過去のこと。人生、どこまでリセットできるものなのか、自ら実験台になって生きています。

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