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吾輩はチビである(9)

5月2日(水)

今朝お父さんは8時ごろ車で出掛けた。なんでも「トーモー」というところに用事があったらしい。こっそりお父さんのタイ語の辞書で調べてみたら「入国管理局」の略称であることがわかった。そう言えばお父さんは3か月に1回くらいの割で「トーモー」へ行く。

お昼前に帰ってきたお父さんはスーパーのレジ袋を4つも抱えて家に入ってきた。リンピン・スーパーストアの袋が2つと、ビッグCが2つ。リンピンでは日本のレトルトカレーとか明太子のスパゲティーソースとか、桃屋の「ごはんですよ」とか、いいろいろ日本ブランドの食品を買っていた。ビッグCでは今日の晩御飯のおかずになる食材をいろいろ。それに安物のウイスキーを仕入れていた。お父さんだったら「ウイスキーというのは間違い。ブレンディド・スピリッツと言いなさい」と叱られるかもしれないけど、僕にとっては、そんなのはどっちでもいい。

お父さんはときどき今日のように発作的に日本ブランドのレトルト食品などを買い込んでくる。それも半端な数ではなく、レジ袋がいっぱいになるほど何種類も買う。お母さんが作るタイ料理や、近所の市場で買ってくる安い総菜を、いつも美味しいと言って満足そうに食べているお父さんだけど、たまには唐辛子とハーブとニンニクの入ったタイ料理から脱出したいという気持ちに駆られるのかもしれない。何しろお母さんが作れる日本食と言えば味噌汁だけだから、蕎麦でもラーメンでもカレーでも何でもいいから日本のものを食べたいという、普段は隠されている欲求がリンピンスーパーに行くと湧き上がってくるに違いない。

もっとも、リンピンスーパーで仕入れる日本食品もタイで製造されたものが多い。言ってみれば疑似日本食品なのだ。桃屋の「ごはんですよ」は輸入だと思うけど。レトルトカレーも“YAMAMORI”だとか“HACHI”だとか、日本では聞いたこともないメーカーの製品は日本製ではないはずだ。だから安いのだ。よく考えてみれば、日本で買う製品と比べると全然美味しくない。お父さんはそれでもいいから食べたくなることがあるらしい。

そういうレトルト食品やインスタント食品ではなく、堂々と「日本食」と口に出して言える食べ物の代表格は寿司だろうか。お父さんも月に一度くらい日本料理屋から買ってくる。しかし、お母さんと食べに行くことは殆どなくなった。お母さんは、ひょっとして以前はお父さんに合わせるために特に好きでもない寿司を一緒に食べていたのかもしれない。その証拠に、最近では絶対に自分から寿司を食べたいとは言わない。もっぱらタイ料理、しかも辛いイサーン料理をご所望である。

夫婦というのは、ある程度食べ物の好みが合致していないと仲良く暮らせないものかどうか、僕には経験がないのでさっぱりわからない。お父さんとお母さんの場合は、お父さんが食べ物の好き嫌いが全くないので、その点では問題も起こらないのかもしれない。今日のように、ごくごくたまに自分が口にしたい“日本風”の食品を勝手に買ってきて勝手に食べるから、お母さんもとても楽だと思う。

お父さんの友達にゴルフの上手な平野さんとかいう同年代の男性がいるけれども、その人はタイに住んでるのに、辛い物がからっきし食べられないと言っていた。家に遊びに来るときは、お父さんが口を酸っぱくして「辛いものは絶対ダメだからね」といつもお母さんに念押ししている。そういう人の場合は、お母さんのようなイサーン出身者とは仲良く暮らせないかもしれない。それとも人間、60歳を過ぎてからでも食べ物の嗜好を自ら変えていくことができるのだろうか?

そういえば、この前は平野さんも何食わぬ顔をしてソムタムを食べていた。お父さんは「あれっ?全然辛くないソムタムなんてあったかな?」という顔をして自分も食べた。そうしたら「これ、普通の辛さだな」と言って不思議そうにしていた。辛さは舌の味覚神経が感知することは確かだけど、「辛い」と感じるのは脳の働きである。だから、ある程度は訓練によって辛さに耐えられるようになるらしい。よく「舌が慣れてきた」と言うけれども、本当はそうではなく、「脳が慣れてきた」のである。脳の可塑性というのは、年をとっても捨てたものではないらしい。

お父さんも最近はすっかりイサーンの人の脳に近づいていて、相当に辛いものも平気で口にできるようになった。それでも、その代わりに日本の味を脳が忘れる、なんてことはないみたいだ。脳の本来のキャパの大きさはほぼ無限大かもしれない。


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No title

やはり日本食は欠かせませんね。
ヤマモリは、本社は三重県桑名市、ラヨーンに工場があり、タイ国内で売っているものは、ラヨーンで作っています。
社長に成り代わりお礼申し上げます、実は同級生の会社なんです。

Re: No title

alfa さん、おはようございます

> やはり日本食は欠かせませんね。

僕も一度食べてみたいです。


> ヤマモリは、本社は三重県桑名市、ラヨーンに工場

ハチ公のカレーも当然タイに工場があるんでしょうね。お父さんはヤマモリの「ホイコーロー」を愛用しているみたいです。こちらは唐辛子をもっと加えるとさらに美味しくなるそうです。そうするとタイ人も美味しいと言って食べます。社長さんにお伝えください。
プロフィール

Niyom

Author:Niyom
身を削って過ごした30余年のサラリーマン生活にピリオド。ここチェンマイに移り住んでからも、楽しいこと辛いこと、いろいろとありました。でも、それは全部過去のこと。人生、どこまでリセットできるものなのか、自ら実験台になって生きています。

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