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息子の交通事故、その後

5月27日(日)

バイク同士の接触事故は今月11日(金)に起きた。相手は68歳の一人暮らしのタイ人男性。仕事は定職というものはないが、アルバイト的に何か稼いで生活しているらしい。相手は無免許、息子は免許を持っている。

5月14日(月)に警察署に呼ばれて、双方がそれぞれの主張をした。相手のオジサンは右肩の打撲、息子は両手両足に傷を負った。数日前から松葉杖なしに歩けるようになった。いま包帯を巻いているのは左足だけ。流石に若い子は治りが早い。

前妻の一周忌の前日にあたる19日に、「明日午前9時によろしく」とオジサンから僕に電話がかかってきた。それまではタイ語ができないふりをしていたけれど、ついつい喋ってしまった。「明日はあの子のお母さんの一周忌なんだから、ダメ」・・・そう言ったのに、当日また電話をかけてきたので無視した。

そうしたら向こうは担当の警察官に、相手と話し合いたいと申し出た。それで昨日再度警察署に呼ばれた。こちらは知り合いの通訳を同伴した。担当の警察官は冒頭、正確な日本語訳ではないが、概略このように述べた。

「また集まってもらったが、今日ですべて終わりにしたい。双方そのつもりで話し合ってもらいたい。事故はどちらが悪いとも言えない。双方ケガをしたので痛み分けだ」そして、「何か(相手に対して)要望があれば、どうぞ」と言って黙った。

するとオジサンは臆面もなく「10万バーツ払ってほしい」と口火を切った。警察官は「何10万?それは法外な要求だ。相手は仕事をしていない17歳の高校生だぞ」と言って笑った。するとオジサンは「じゃあ5万」と言った。僕たちは苦笑した。僕は何も言わずに、しかし話にならないという表情を作って警察官を見た。彼もだいたいそのような感触だったように思われた。

そこまできたところで、オジサンが頼んだ弁護士が遅れて入ってきた。前回は黙っていた弁護士のおじさんは今回は色々とまくし立てた。「後ろからぶつかったのは高校生のバイクだから、責任がある」と言ったように聞こえたので、僕はケータイを取り出して、先日撮影したオジサンのバイクの写真を見せた。

「これ見てくださいね。後ろからぶつかったのですか?そうとも言えませんよね」と僕は説明した。弁護士は「この写真は誰のバイク?」と言った。事故のバイクをまだ見てなかったのだ。

息子は早い解決を望んでいる。5万バーツの要求に対して、ゼロ回答ではこじれるだろうと思ったので、「修理代その他として5000バーツ出してあげましょう」と僕は言った。オジサンのバイクの修理代は、事故バイクの保管場所で営業している修理屋のお兄さんによると2000バーツくらいだ。つまりほとんどダメージがないのだ。それを言うと、オジサンは「右肩を痛めているから3か月間は仕事ができない」と言った。「よく言うよ」と思ったが、そのこと自体には反論しなかった。

警察官は「じゃあ双方で話し合って、結論が出たら教えてください」と言って席を離れた。こんな小さな事故にいつまでも関わっていたくないのだろう。「月曜の朝までに決着しないなら、事故の検証結果を書類にします。あとは裁判で決着を付けてください。警察はそれで手を引きます。」

そのあと向こうの弁護士は「3万でどうか」と言いに来た。「オジサンは5万といい、あなたは5000と言い、差が大きすぎる。だからその中間をとると、大体そのくらいでしょう」と言いたいようだった。僕は「1万なら出してあげてもいいですよ」と答えた後、オジサンと弁護士は長く話し合っていたが、yesかnoか、なかなか結論が出ない。待っていても馬鹿らしいので「もう行きましょう」と、僕たちの方から先に警察署を出た。

息子は早く決着させたがっていた。それはそうだろう。多分、心の中では「お父さん、3万払ってあげてよ」と思っているのだろう。しかしだからと言って、自分がそこまで悪いと思ってないのであれば、変な妥協はよくない。これからの彼の人生を考えれば、何でもお金で解決しようとする癖がつくのはよくない。この間まで通っていた“ハイソ”の学校の生徒は、何か問題が起きると親が札びらを切って解決することが多いと聞いていたが、僕はそういうやり方は嫌いだ。

もし自分の運転に問題があって事故が起きたのであれば、自分から相手に謝って、それなりの補償も必要だろう。すぐ親に解決してもらう話ではない。妥協して解決するのが悪いというのではない。ただ、17歳でそんなことを目指すのは違う。何でもすぐにお金の話に持っていくのは大人の習性として是認はするが、青少年の考えることではない。何故事故になったのか、とことん考えるべきだ。その結果、相手が悪いと思ったら、きっちり、堂々と主張すべきだ。どんな場合でも、逃げ腰はいけない。相手が嘘のない誠実な男かどうかも見極めないといけない。

ただ、裁判になった場合は素人で対応するのはむずかしい。それに相手は、お金がなくて困っていると言いながら弁護士を付けてきている。だから、こちらも同じ対応をすることにした。昨日警察から帰った後、時々世話になっている弁護士先生にコンタクトした。それで今朝、弁護士先生は「今日は休みで時間があるので息子さんから話を聞きましょう」と言ってサラピーの家の傍まで来てくれた。

結論を言うと、話し合いの期限として警察が設定した明日の朝に、弁護士先生と息子の2人で警察署に行って、その場でまず相手方と話をするというのだ。あっという間に解決するのか、それとも裁判にもっていくのか、それは警察の正式の検証結果と相手の出方次第ということだろう。ただ弁護士先生は、「裁判になったとしても、この程度の事件では何も怖がることはない。相手が死んだり半身不随になったわけではないのだから。それに君もオジサン同様に痛い思いをした。もし仮に負けたとしても、裁判も人生経験のひとつになるだろう。だから、全然心配しなくてもいいよ」と息子を励ました。

弁護士先生は息子としか話をしなかった。僕は横にはいたけれど、意見はまったく聞かれなかった。むろん口も挟まなかった。明日警察へ行くのは弁護士先生と息子の2人だけでよいという。弁護士先生は「お父さんが行く必要はまったくない(むしろ、いない方がいいくらいか?)」と付け加えた。いかにも“タイらしい”。僕は明日は息子を運ぶ単なる運転手だ。


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タイは穿いて捨てるほど弁護士が居る

成功報酬でその弁護士はやってるんですよ。

腐るほど弁護士は居ますからタイは。

適当に日にちを延ばせば向こうから妥協します。

Re: タイは穿いて捨てるほど弁護士が居る

tikさん、こんにちは。

> 適当に日にちを延ばせば向こうから妥協します。

だいたい弁護士同士ではすぐに決着を付けます。弁護士なら、裁判して勝てるかどうか、それに相場の見当もつくので無駄なことをしたがらないようですね。

異国での争い解決の常道が分からない

いつも、興味深く拝見しています。

>裁判も人生経験のひとつになる
というのは、その通りとは思いますが、

日本とタイの対比で、
どのくらい、エントリーのような件で訴訟に至るのか。
どう考えればいいのか分かりません。

決着がついた後で結構ですので、
決着内容と、ご当地での争いの解決についての「常道」につき
お教えいただければ、参考となります。

No title

この場合は先日も書いたように外国人は出ない方がOKですね。
基本的に弁護士は判例を調べて似通ったものの結末から判断すると思います。日本であった私の事故の場合余りにも相手方弁護士がいい加減な答弁書の提出だったので一からことごとく理詰めでひっくり返した経験があり、相手側弁護士が脚色していることを裁判官に訴え勝訴した経験から、弁護士は法律のプロではあるが、車やバイクについては、全くのド素人で少し詳しい人間が答弁書を見れば問題点はすぐ見つけられます。但し手間暇のかかる割に上乗せは限られています。私の場合、意地の勝訴で弁護士がビックリ、仕事を手伝って欲しいと依頼までされました。

Re: 異国での争い解決の常道が分からない

なまけさん、おはようございます

> 決着内容と、ご当地での争いの解決についての「常道」につきお教えいただければ

裁判するのかどうかわかりませんが、経過というか結果というか、いずれ書くことになると思います。

Re: No title

alfa さん、おはようございます

> 弁護士は法律のプロではあるが、車やバイクについては、全くのドシロウト

まあ人によりけりでしょうが、タイは交通事故の争いが多いでしょうから、それなりに前例は知ってるでしょう。バイクに強いかどうかを含め、警察の検証結果がおかしい時にきちんと反証できる弁護士かどうかは重要だと思います。

どうなりますか?

私も同じような意見です。
お互いの意見をぶつけ合うことが大切かと。
最後は、お金になりますが、五分五分なら、
お金を支払うのは、修理代ぐらいかと。
ただ、弁護士が入ってきたので、相手方は、弁護士も含めて、日本人から、たくさんお金をもらおうと。
所詮、外国人の日本人は、蚊帳の外です。
弁護士同士の話合いがいちばん楽ですよ。
もめごとは、精神的に疲れますから。

Re: どうなりますか?

スモール明さん、こんにちは。

> 弁護士が入ってきたので、相手方は、弁護士も含めて、日本人から、たくさんお金をもらおうと。

最初からこちら側も弁護士に任せた方がよかったと思います。これまで何度もかかわっている顔見知りの弁護士です。
低料金でやってくれます。

プロフィール

Niyom

Author:Niyom
身を削って過ごした30余年のサラリーマン生活にピリオド。ここチェンマイに移り住んでからも、楽しいこと辛いこと、いろいろとありました。でも、それは全部過去のこと。人生、どこまでリセットできるものなのか、自ら実験台になって生きています。

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