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真夏の情事(3)

10月9日(月)

その女性の住んでいる女子寮はターニン市場に近い細い路地の中にあった。アパ―トの場所にマークを付けたgoogleマップを前日にLINEで送ってくれていたが、それでも初めての場所は分かりにくかった。

この辺りのはずだけど・・・そう思って車を止めた途端、携帯が鳴った。

「もうちょっと前に来てください。左側に止めてください。」

どうして僕の車だと分かったのだろう。MAYAで会った時、車は見せていない。それに、どこからこっちを見ているのだろう・・・

不思議な気がしたけど、そのまま数十メートル車を前進させて止めた。すると笑顔の女性が助手席のドアを開けた。すごく綺麗だった。長い黒髪に大きな黒い目。この日は服も黒っぽかった。それが何ともセクシーに見えた。もちろん服ではなく、その女性のからだ全体からフェロモンを発散しているように思えた。時間は約束の11時ピッタリだった。

僕はうきうきしながら、車を前から知っている郊外のカフェへと走らせた。大事な話をするために、3年来付き合っているアラサーの彼女を一度だけ連れて行ったことのあるカフェだ。同じ場所を選んだのは、そのカフェが緑に囲まれていて格別に雰囲気がいいからだ。

僕たちは一番奥のこじんまりとした席を選び、向かい合って座った。すぐ外に見える木々の緑が生き生きとしていた。雨季の真っ最中だった。

「ここはスパゲティが美味しんだよ。」

僕はトマトソースのスパゲティ。女性はカルボナーラを注文した。もちろんコーヒーも一緒に頼んだ。女性はカプチノ、僕はいつものようにモカを選んだ。

女性は目の前のスパゲティ―にはほとんど興味が湧かないようだった。でもMAYAで会った時とは打って変わってよく喋った。僕も、自分が日本に居た頃のことや、前に愛し合って一緒に暮らした女のことも話した。辛かった過去の思い出を話すと、女性の眼から涙が零れ落ちるのがはっきり見えた。きっと情の厚い女にちがいない。僕はそう思った。

現在進行形で付き合っているアラサーの彼女のことは、もちろんお首にも出さなかった。それをすると、すべてがブチ壊しになることは容易に想像できた。

女性は自分の生い立ちを包み隠さず話してくれた。母方は祖母の代にミャンマーからやってきてチェンマイに住み着いたこと。ここで外国人の男と知り合い結婚し、自分が生まれたこと。でも国籍はタイだ。

「どうぞ、これ見てください。」

そう言ってIDカードを取り出して僕に手渡した。間違いなくタイの国民登録証だった。生年月日に目をやると、確かに39歳だった。

時間はあっという間に経っていた。たっぷりと2時間は語り合った。携帯に目をやると、午後の2時をとっくに過ぎていた。

「もうこんな時間ですね。次はどうします?」

女性は僕に次の行先も任せた。近くに滝があるのを思い出し、連れて行こうと思った。でも前日来の雨でそこは通行止めになっていた。

「映画でも見に行きますか?」

と、女性から提案があったが、乗り気がしなかった。

「今日は帰りますか。」

僕がそう言って車を走らせていると、女性は急に思い出したように言った。

「大きいスーパーか何かあったら止めてくれますか。狭い部屋に古い洋服がいっぱいあるので、誰かにあげようと思うんです。でもそれを入れるプラスチックのケースがないんです。」

すぐ先に量販店のMACROの看板が見えてきたので入った。二人一緒に洋服の入りそうなプラスチックケースを探した。

「これぐらいでどうかしら?」

「いや、もうちょっと大きめの方がいいよ。大は小を兼ねるって言うからね。」

「そうですね。じゃあ、これなんかどうかしら?」

恋人同士か夫婦の会話みたいになっている気がした。

僕たち、きっとうまくやれるカップルになるんじゃないかな・・・。早くも2回目のデートでそんな風に思った。

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プロフィール

Niyom

Author:Niyom
2012年、60歳でチェンマイへ移住。2017年にタイ人の妻を病気で亡くした後、愛人だった若いタイ人女性と再婚、前妻が可愛がっていた小さな犬2匹も一緒に暮らしている。

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