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真夏の情事(4)

10月10日(火)

黒髪のアラフォー美人と2回目のデートをしたその2日後、僕は3年来付き合っている29歳のアラサーの彼女と会った。いつもは1週間に2回は会っている。毎回食事をしてホテルへ行くのが決まりになっていた。ところが、もう10日も会っていなかった。

それだけではない。その2日後、彼女は、

「明日は一日中暇だよ~」

とLINEで知らせてきた。いつもなら喜んで会うはずなのに、

「用事があるからダメ。」

と僕はそっけない返事を返した。まさか別の女とのデートがあるから会えないと言えるわけがない。それに、黒髪の美人に魂を奪われつつあるときに、彼女と会うのがもう辛くなっていた。

アラフォーの黒髪美人とはLINEのビデオ通話で毎晩のように話していた。喋るのはタイ語だった。朝は朝で彼女が会社に出勤する前の30分ほど、英語とタイ語の混じった書き言葉でやりとりした。朝の時間帯はアラサーの彼女とのLINEも日課になっていた。やっている途中で相手を取り違えたら大変だから神経を使った。ほとんど同時に二人とやりとりすることもあったからだ。

アラサーの彼女と久しぶりに会った3日後の夜、黒髪美人と僕は再びMAYAにいた。3回目のデートだった。今度は同じ4階でも日本食のレストランではなく、カウンターで食べる大衆的なタイ料理の店へと彼女が誘導してくれた。そして食事のあとは、また5階のベンチに座ってこれからのことを語り合った。

「今は女子寮に住んでますけど、あそこは男の人は入れないし、それに狭すぎるんです。エアコンもないし、冷蔵庫もないんです」

そのアパートは家賃が2500バーツと格安だった。給料は外国人の経営する会社といっても、月1万バーツそこそこしかなかった。だから、安い女子寮から他のアパートへ移ることはそう簡単ではなかった。 

しかも彼女は給料から毎月2000バーツを実家に仕送りしていた。つまり家賃を除けば、毎月5000バーツほどで生活していることになる。そんな話を聞いて黙っている僕ではなかった。

「エアコンと冷蔵庫くらいは付いてるちゃんとしたアパートに住んだ方がいいよ。今度一緒に探してあげるよ。家賃くらいは何とかしてあげるから心配しなくていい。そうだな、予算は1か月1万バーツくらいにしよう。もし5000バーツのアパートだったら、残りの5000バーツは仕送りに回してもいいよ。」

付き合い始めてすぐにお金の話をするのはあまりよくない。それはとても危ないことくらいは知っていた。でも、タイ人女性との交際では一番大事なことでもある。曖昧にするのはもっと危険だ。僕はアラサーの彼女に毎月一定額を援助していたので、それがなくなると仮定すれば、1万バーツはお安い御用だった。十分すぎるほどお釣りがくる。

語らいのひと時が終わり、黒髪美人がバイクを止めている2階の駐輪場へと一緒に向かっていると、突然彼女の方から僕の手を握ってきた。小柄なアラサーの彼女の手より少し大きくて柔らかい感触だった。

「キスしたいけど、ここではできないね」

僕はそう言って、今度は彼女が休みの日曜日に会う約束をした。

次のデートを黒髪美人がどう組み立てようと考えていたか、今となっては知る由もない。僕にとってはとても重要なステップになるはずだった。そして実際にそうなった。しかし、ドンデン返しが待ち構えているとは、そのときは予想していなかった。


4回目のデート。それは市内から30分とかからないメーリムにある湖の中のレストランから始まった。僕は朝からいつになく緊張していた。あることを決行するかどうか、決行できるかどうか・・・それは黒髪美人を抱くことだった。

メーリムにある「ホワイ・トゥンタオ」はこれまでいろいろな人と訪れている。アラサーの彼女とも4回か5回行っている。湖(貯水池)の岸辺にたくさんの茅葺きの個室が並んでいて、魚料理や海老の踊り食い(クン・テン)などのタイ料理をゆったりとした雰囲気の中で食べることができる。値段もごく普通で、昼間食事しながら話をするのにうってつけの場所だ。友達どうしや家族連れも多いが、いつもカップルで賑わっているデートスポットのひとつだ。

黒髪美人はこの日初めてビールを口にした。そのせいかどうかは分からないが、これまで以上に饒舌だった。彼女は高校しか出ていない。けれども知識は豊富だった。タイ社会の問題点について語り合った。外国人の会社に勤めているので、上司や同僚ともよく話をするのだろう。大方の外国人が指摘する問題点に同感のようだった。彼女は、このままではタイはいつまでたっても先進国の仲間に入れないと言い切った。言わずと知れた公務員の袖の下だ。

ビールを飲んで社会のことを語り合う。今まで見えていなかった黒髪美人の一面だった。でも僕と同じで、朝から緊張していたのかもしれない。男と女が出会ってまだ2週間しか経っていない。でもお互いに気に入っていることは確かだ。キスこそしていないけれど、手は握り合った。その次のステップは社会問題を語り合うことではない。彼女と僕は職場や街で出会ったのではない。出会い系サイトで出会ったのだから・・・

食事が終わると、僕たち2人は寡黙になった。

「これから、どこへ行きますか?」

と聞いても返事が返ってこなかった。まさか黒髪美人が「レオテー(お好きなように)」と言うはずもなかった。何も答えがないのは、僕の抱いている計画にとって都合がいいのかどうかすら分からなかった。

人間というのは、男と女でなくても、二人の間の微妙な空気の変化を察知する能力を備えている。女は男の心の中が見えているのかもしれない。これからどうしたいとも何も言わないのは、僕の隠された計画の肯定なのか、それとも否定なのか・・・僕の緊張は最高度に達しつつあった。

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素早い行動力

流石の変わり身の早さです。
アラサー女子から同居を否定されてからの行動には驚きです。
今度はアラフオーへの移り気、お勤め彼女さんは変だと感じているハズですよ。
ドンデン返しとはなんだろう?どんどん官能小説に嵌つていくようです。

Re: 素早い行動力

> 今度はアラフオーへの移り気、お勤め彼女さんは変だと感じている

女の勘は恐ろしい。彼女にしてみれば、浮気なんてものじゃないでしょうね。

官能小説の真似事っぽく書こうとすれば次回ですけど、そこに踏み込む筆力はなかったみたいですよ。
プロフィール

Niyom

Author:Niyom
2012年、60歳でチェンマイへ移住。2017年にタイ人の妻を病気で亡くした後、愛人だった若いタイ人女性と再婚、前妻が可愛がっていた小さな犬2匹も一緒に暮らしている。

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