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HIV検査を受けた(2)

11月25日(日)

「Napneung(ナップヌン)」という名前の医療プロジェクトの存在を知ったのは今年の9月のことだった。

ある日の朝、起きてすぐにいつものようにスマホで日本のニュースをチェックしていたら、突然画面がチェンマイの「Napnueng」のホームページに飛んだ。実に不思議なことがあるものだ。

「Napneung」はチェンマイ大学医学部のプロジェクトで、フランスの研究機関とタイアップしてHIVをはじめ、さまざまな感染症の拡散防止のための活動を行っている。タイ人はもちろん、外国人でも旅行者を除いて無料で検査を受けることができる。

検査はHIV、B型肝炎、C型肝炎、そして梅毒の4種類を1回の採血で同時に行う。ホームページには、匿名で検査を受けることができること、予約はメールまたは電話で行えること、所要時間はカウンセリングや結果の説明を含めて約1時間で終わることなどが書いてあった。

8月19日に“不適切な性行為”を体験したあと、やはりHIVのことは気になった。大体の知識は持っているつもりだったが、改めて感染していた場合の初期症状についてネットで調べた。

HIVは事後2日で感染が成立する。ただし感染者と接触の機会があっても、血液からの感染をのぞき、感染確率は梅毒や淋病など他の性感染症とは比べ物にならないくらいに低い。宝くじに当たる確率よりはもちろん高い。直後にHIV予防薬の服用を開始すれば、感染の確率は更に下がる。ただし予防薬は非常に高額で、日本では感染後の治療目的以外には保険が適用されない。

感染すると、2週間後から6週間の間にインフルエンザのような発熱、喉や関節の痛みなどの症状が90%以上の割合で現れる。それに加えて胸や背中に5ミリ~1センチの赤い発疹の出ることもある。それらの初期症状は数日で自然に消える。僕の場合は、6週間くらい経ったころ、形が不規則な赤い湿疹のようなものが胸や腕に現れたので慌てた。発熱などは一切なかった。

元看護師の彼女が見ると、「これは熱い油が皮膚にかかったときに出来る一種のやけどです」と言った。結果として彼女の見立ては正しかった。なぜなら、その頃上半身裸のままフライパンで揚げ物をしていて、飛び散った細かい油が胸と腕にかかったことがあった。プツプツが現れたのは多分その翌朝からだ。冷静になればわかることだったが、“6週間目”という時期が合致していたので不安になったのだ。

HIVに感染した場合、初期症状が現れる頃に検査を行っても感染しているかどうかは分からない。大体3か月後に血液を調べると、簡易検査でもほぼ間違いなく判定できる。だから僕は8月19日のおよそ3か月後に念のため検査を受けることにした。

Napneung(ナップヌン)の検査施設はチェンマイ市内ではチェンマイ大学病院とノンホイのクリニック、そしてチェンライにもある。僕はWebsiteから検査日時を予約した。Websiteからは場所が指定できなかったので、前日になって電話で希望を伝えた。

約束の時間にクリニックを訪ねると、女性の医療スタッフが現れて診察室のような部屋へ案内してくれた。名前は聞かれない。国籍も聞かれない。もちろんパスポートや免許証を見せる必要はない。チェンマイにどれくらいの期間滞在しているかは聞かれた。

肝炎の検査で陽性になった場合は確定診断のための精密検査の必要がある。そのため採血と血液保管の同意書へのサイン(名前ではなく検査の日付を手書きで記入)に加え、連絡先の電話番号を記入しなければならなかった。強制ではないと思う。

それだけではない。女性スタッフはi-padのようなタブレットを取り出して画面を僕に見せた。そこには受検者の生年月日や生活環境に関する質問のほか、HIVやB、C肝炎などについての受検者の知識をチェックする問題が並んでいた。解答はすべては選択式だが、問題の数が多いので時間がかかった。タブレットの言語はタイ語と英語の2種類あって、僕は英語を選択した。ちなみに女性スタッフとの会話は、例によって僕の癖で英語とタイ語のちゃんぽんになった。彼女の会話も僕につられたのか2言語になった。

タブレットの質問に答えていくと、分からない単語が一つあった。たしか“incarcenated”という単語だ。「あなたはこれまでincarcenatedの経験がありますか?」という質問・・・女性スタッフに意味を聞くと英タイ辞書を取り出して調べてくれた。「刑務所に入ったことがありますか?」という意味らしい。なかったような気がするが・・・

タブレットの質問にすべて答え終わったら、今度は女性スタッフから「なぜ検査を受けようと思ったのですか?」と核心に触れる質問を受けた。

僕は8月19日の出来事についてごくごく簡単に述べた。もちろんエロい表現は一切なし。すると「そのマッサージ店はどこですか?」「相手の女性の名前は?」と聞いてきたので、「チェンマイ市内のタイマッサージ店です。女性の名前は分かりません」と答えた。それが8月の出来事に間違いないかどうか、カレンダーを見せられて何度も確認された。3か月経ってなければ、簡易検査の信頼度が保証できないからだ。

これらすべての前置きに45分くらいかかった。そしていよいよ採血になった。その女性スタッフは看護師なのか医師なのかは分からないが、手際は良かった。検査機器に血液を入れて結果を待つことおよそ10分。その間に雑談をした。今日本では若者の間に梅毒が増えていること、HIVに関しては、外国から輸入した非加熱血液製剤によって血友病の患者が多数感染した30年くらい前の事件などについて僕の方から話した。興味深そうに聞いてくれた。

クリニックに入ってほぼ1時間くらい経った頃、検査の結果が出た。女性はそれまで以上に畏まった固い表情になった。結果が印字された紙を渡してくれただけで、「よかったですね!」というような、感情を表す言葉を彼女は一切口にしなかった。プロの態度だ。別れ際に女性の名前を聞いた。「それは・・・匿名ですから」と初めてニッコリしてくれた。外国人で検査を受けに来る人は結構多いそうだ。


DSC_2531.jpg

ご覧の通り、結果はすべて「negative(陰性)」だった。

8月19日から約3か月の間、“不安という名の代償”を受けた。もしもの場合は、彼女にも検査を受けさせなければならない。自分はともかくとして、彼女のことが一番気がかりだった。

彼女とのお勤めで“中出し”したことは、半年以上前の一度しかないが、いつもギリギリまでは避妊具を装着しないことが多い。でも8月19日の翌日から、「発熱が全くないので、まず大丈夫だろう」と思えるようになった7、8週間後までは珍しく最初から避妊具を使用した。彼女も変だと思っただろう。「もし自分がHIVに感染していたら」と思うと若い彼女のことがとても心配だった。

僕の知り合いで「日本でもタイでも、たくさんの女とコンドームなしで関係しているけど、病気をもらったことは一度もない」と豪語している強者がいる。しかしHIVの場合はエイズを発症するまでの潜伏期間が5年以上、10年くらいある。だから今何もないからと言って油断できない。多分そういう男性は「僕はいつ死んでもいいから全然怖くないよ」と言うだろう。そうではない。他人を巻き込むから感染症は怖いのだ。

あの日は僕にも十分に落ち度があった。根が好きだからどうしようもない。しかしあのマッサージ師の熟女も、もし突然性行為に及ぶのであれば、コンドームは用意しておくべきだ。僕も今後またそのような機会がないとも言えないので、外出するときは常に最低1個は携行する事にしようかな・・・(笑)


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非公開コメント

ひと安心

若気の至りとは言え(笑)この3ケ月の気苦労は大変だったことでしょう、赤い発疹など彼女も薄々変だと感じたのでは。
検査の前のヒアリング調査は端からHIVと疑っているような質問で笑えました、それだけ感染患者が多いということでしょう。

がっかり

グッバイ, super Superman.

Re: がっかり

P-takさん、こんばんは。

???

Re: ひと安心

のり3さん、こんばんは。

> 若気の至りとは言え(笑)・・・

何事もほどほどがよさそうですね。一生薬を飲み続けなければならないよいう事態も浮かんできて、確かに悩ましい時間でした。

Re: ひと安心

のり3さんへ追伸

でも、前妻の仲の良かった女友達に感染者が一人いますが、発症を抑える薬を飲みながら日本人のご主人と明るく暮らしておられます。

No title

裏オプションとか懇意になってからの連れ出しでなく、チェンマイの一般的なマッサージ店内でこんなサービス?する所があるんですねぇ。私は、そういう目にあった事は今のところありません。
「日本人はブログとか掲示板に書くからね!」という、狡猾なタイ人オーナーの仕掛けたハプニング、“拡散で集客アップ作戦” の一環かもしれませんよ。

Re: No title

MARINOさん、こんばんは。

> 狡猾なタイ人オーナーの仕掛けたハプニング、“拡散で集客アップ作戦” ・・・

この手のサービスを行うマッサージ店(普通のタイマッサージ)はタイには星の数ほどあります。ほとんどは店の主導ではなく、女性のチップ稼ぎです。ただ、普通は前もって金額を提示するのが常識。また、本番ナマ行為はめったにありません。あるとすれば店外ですね。遊び好きの日本人からいつも聞かされてました。
プロフィール

Niyom

Author:Niyom
2012年、60歳でチェンマイへ移住。2017年にタイ人の妻を病気で亡くした後、愛人だった若いタイ人女性と再婚、前妻が可愛がっていた小さな犬2匹も一緒に暮らしている。

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