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人の恋路を邪魔する女

どうも僕は慌て者らしい。何か非常事態が出来したときに、冷静に対処できないことが多い。昨日が、まさにそうだった。

フィットネスクラブで時間を過ごした後、夕方家に帰ってみると、彼女のバイクはあったが姿が見えなかった。だからきっとお姉さんか誰かが迎えに来て、どこかへ行ったのだろうと考えた。それで、油断して新しい彼女にLINEで話しかけた。

シャツも着ないでベッドに寝そべりながら、映像付きの音声通話で話していた。しばらくして、突然声がした。「オトウサン、誰と話してるの?」・・・元妻が、突然前触れもなく部屋に入ってきた。入って来ただけならまだしも、わざと大きな声を出したのだ。これはどう考えても、わざとだ。

僕は「ちょっと待ってね」とケータイに向かって言ってから、慌ててLINEを切ろうとした。でも慌てたので、ケータイの電源そのものを切ろうとした。でも、なぜか切れなかった。いつまでたっても切れない。元妻はニヤニヤ笑って「ワタシが消してあげましょうか?」と言い出した。さらに何を言い出すかわからない。完全に狼狽えた。この狼狽えている姿がカメラに写っているかもしれないと思うと、もっと狼狽えた。もしも「今日もHしますか?」なんて元妻が言ったら、世の終わりだ(笑)。せっかく気に入った女と出会っても、ご破算になるわけだ。

何か言い訳をしないといけない。放っておくと、新しい女とはオサラバになるだろうと思われた。そこで一計を案じた。30分くらい経ってから、気を取り直して文字を書き送った。映像音声付きのLINEは、元妻のいるときは危なくてやってられない。

「さっきは亡くなった妻の娘が急に訪ねてきてね・・・びっくりしたよ・・・」

嘘に嘘を重ねるというやつだ。離婚したばかりの元妻が一緒に家にいることなど、新しい女には口が裂けても言えなかった。普通なら考えられないことだから。Tと会ったときに「実は妻がいます」とはなかなか言えなかったのと似たようなものだ。「妻」が「元妻」、あるいは「前妻」という単語に変わるだけだが、かえって相手はわけがわからなくなるだろう。

2年半前に妻が亡くなったことは話していた。3人の子供がいることも新しい彼女は知っている。だから、娘が訪ねてきたと言っても、状況としてはとっても不自然というわけではない。しかも、元妻は「オトウサン!」と声を出したのだった。「“オトウサン”と言う日本語は、タイ語でポー(父)という意味でね・・・」と書き送った。こういうのは、本当は余計な言い訳だが・・・

彼女は「家にカギはかけてないんですか?」と訊いてきた。「扉はいつも開けっ放しだ」と説明したら、何となく納得したようでもあった。でも、僕が慌ててLINEの通話を切ろうとして切れなかった数分の間、彼女は一言も言葉を発しなかった。「どうしたんですか?」とか、普通は言いそうなものだ。ずっと無言だったということは、何だか変だと感じていたに違いない。

ところが、夜になって新しい彼女(名前はK)が思いもよらぬことを書いてきた。「娘さんは、お父さんに女がいるかどうか確かめに来たんじゃないですか。サプライズで来たんですよ、きっと」・・・つまり、娘が勝手に家に入ってきて、僕を驚かすために「オトウサン!」と声をかけたのだと推理したようなのだ。

その後しばらくたって、Kはこんなことを書いてきた。

「アナタはワタシと友達付き合いをしたいのですか?それとも、一緒に暮らしたいと思っているのですか?」

これまでたったの3日しか会っていない。もちろん、セックスはしていない。3日目の別れの時に、手を少しだけ握り合ってほんの軽いキスをしただけだ。Kは会社の研修でバンコクにいるので、この1週間は会っていない。

会わなくても、毎日LINEでいろいろな話はしている。でも、「いま何してる?」「晩御飯は何食べたの?」「3連休は何をするの?」というような他愛のないことがほとんどだった。突然、これまでのやり取りとは根本的に違う質問を彼女の方から投げてきたのだ。

Kは、亡くなった妻の娘が(義理の)父親に女がいるかどうかを確かめたくなったのだと考えた。そして自分がその女になるのかどうか、僕に確かめたくなったのだろう。「アンタ、ワタシに嘘ついてるんじゃないの?」と考えるのとは全く逆方向だった。つまりKは僕の嘘をつゆほども嘘とは思わず、善意に解釈したのだ。いや待てよ、違うかもしれない。女の勘はすごいから。

「アナタはワタシに何を望んでいるのですか?(ハートマークなどの)ステッカーはいらないので、率直に言葉で答えていただけますか?」・・・Kは真剣そのものだった。

最後に付け加えておくと、人の恋路を邪魔するような行動に出た元妻のことだ。もちろん僕は怒ったりしなかった。彼女にも焼餅があるだろうし、何よりも次から次へと新しい女を見つけてくる男にあきれているのだろう。

「どうせアナタは“一人暮らし”だと言って女を騙してるんでしょう。ほんとに悪いひとなんですから」・・・そう言って笑うところはまだ可愛らしい。でもね、考えてみれば、手切れ金をもらって離婚したのに、僕の家にいつまでも居座っている女ってのも決していい女ではないと思うんだけど・・・少なくとも、邪魔はやめてほしいな。

(10月14日、7時30分)

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プロフィール

Niyom

Author:Niyom
2012年、60歳でチェンマイへ移住。2017年にタイ人の妻を病気で亡くした後、愛人だった若いタイ人女性と再婚、前妻が可愛がっていた小さな犬2匹も一緒に暮らしていたが・・・

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