未練を断ち切る
もうブログをやめるかもしれないと言った舌の根も乾かないうちに、また一筆執ることにした。昨夜、思いがけなく誰かさんと「最後の会話」をLINE上でしたからだ。それを書くかどうか迷った。一晩迷って、書くことにした。
昨日は誰かさんの誕生日だった。夕方になって彼女のアパートにプレゼントを届けた。と言っても、1000バーツもしないプラスティックのラックだ。物を届けるのは彼女がアパートに移ってからこれで5回目くらいだろうか。部屋の中の様子を見るたびに、「あれが足りないな。あれがあればいいな・・・」と気が付くことがいっぱいある。だからそのたびに買い物をして、彼女のいるときに部屋に届けていたのだ。届けるだけで、もちろん何もしない。ときどき彼女を抱きしめたくなる時があっても、ぐっと思いとどまって、いつも短い時間で部屋を後にした。
ところが昨日、アパートを出るときに思いがけないことを言われた。
「通信販売の化粧品が明日あなたの家に届くので受け取っておいてください」
・・・・・え~っ!!!!
「何時ごろ届くの?」
「さあ、わかりません。あなたが留守でも、玄関に置いておいてくれます。小さいものですから」
冗談じゃない。明日の夕方、Nと一緒に家に入ったとたん、玄関に化粧品の入った箱が置かれていたら・・・しかも宛名が女性の名前。一発でアウトに決まってる。さあ大変だ。
「他に僕の家に配送されるモノはあるの?」と聞いた。すると・・・
「何か問題でもあるんですか?受け取っておいて、あとで暇な時にアパートに届けてくれればいいだけです」
「冗談じゃないよ。僕に新しい恋人がいることは知ってるだろ。明日も彼女が家に来るんだよ」
「新しい女がいることはもちろん知ってますよ。でも、もう家に入れてるんですか?」
僕は誰かさんのことを別れた女だという認識でいた。確かに未練はあった。未練どころか、一緒に暮らしていたときは感じなかったような、彼女に対する強い愛情を感じ始めていた。だから彼女のこれからの生活のためにできるだけのことをしてあげようと思って世話を焼いた。おそらくそのせいだ。誰かさんはいつかまた僕とやり直せると思い始めた。だから、別れたという意識がなかったのだ。一時的な別居状態と認識していたのだ。
通販の化粧品が家に届くことに驚いた僕。そして「二度とモノが届かないようにしてください」と書いた僕。誰かさんはやっと気づいた。僕が彼女よりも新しい恋人のことを大切に思っているんだという事実。そして自分の身に何が起きているのか、その真実に目覚めたのだ。またやり直せるに違いないという夢からやっと覚めたのだ。
「貴男は幸せでいいでしょう。でも私は一人です。自分の誕生日だというのに、どうしてこんなに悲しまなくっちゃならないの?」
「僕が全部悪い。僕のことを忘れてください。そうすることが、貴女にとっても僕にとっても最善だから」
そう言うより他になかった。
「私のことを心配してくれてありがとう。私と知り合ってくれてありがとう。自分がもっと強い女になれたらいいなと思います」
「もう僕は戻れない」
「私も今決心しました。貴男のところに戻りません」
「誰かいい男を見つけて幸せになってね」
「私のことをもう心配しないで。誰しも新しい人と出会ったら、それまで一緒にいた人を捨てなければならないのは宿命です。貴男にとって、私はもう意味がないのですから・・・」
「さようなら!僕の人生で、亡くなった妻の次に最も愛した女・・・」
「さようなら!私がたった一人だけ愛した男、それはあなた・・・」
「死ぬまで貴女のことは忘れない」
「・・・・どうしてこんなに悲しくなるの?」
「僕たちは本当に愛し合っていたからだよ」
「愛ですって?貴男は私の心をこんなに傷つけておいて。私は貴男の玩具じゃないのよ。でもいいの。もう返事はしません」
「僕のことを忘れてね」
「はい。できるだけ早く忘れてあげるようにするわ」
(お互いに『嬉しいマーク』)
僕たちは最後に暗黙の裡に心から愛し合っていることを確認した。憎み合って別れるのではなく、そんなふうに別れるとすれば、未練を断ち切るのは難しいだろう。でも、これ以上彼女に苦痛を与えることはできない。何があっても、もう彼女のアパートを訪ねたり、LINEで言葉をかけたりしないと僕は心に誓った。
(2月3日、9時45分)
今朝ブログを書いた後、胸に痛みを感じ始めた。若い頃に失恋したときの、あの痛みだ。いや、むしろ大切な人をなくしたときの痛みとそっくりだ。妻が亡くなったときの喪失感に似ている。きっと誰かさんは、それくらい僕にとって大切な人だったのだ。失ってはじめて気が付くことはよくあることだから、何でもない。
あと2時間もすればNを迎えに行く。スーパーに寄って、わが家の台所で初めて料理を作ってくれる。メニューは相談して決めた。もしも玄関に化粧品が届けられていて、それを見たNが質問したら、「ああ、これはつい最近までこの家にいた女が注文したものだよ」と答えればいいさ。(12時20分)
(追記の追記)
昨日、Nと家に戻ると、化粧品は家に届いていなかった、誰かさんが配送をストップさせたのだ。(4日、8時)
昨日は誰かさんの誕生日だった。夕方になって彼女のアパートにプレゼントを届けた。と言っても、1000バーツもしないプラスティックのラックだ。物を届けるのは彼女がアパートに移ってからこれで5回目くらいだろうか。部屋の中の様子を見るたびに、「あれが足りないな。あれがあればいいな・・・」と気が付くことがいっぱいある。だからそのたびに買い物をして、彼女のいるときに部屋に届けていたのだ。届けるだけで、もちろん何もしない。ときどき彼女を抱きしめたくなる時があっても、ぐっと思いとどまって、いつも短い時間で部屋を後にした。
ところが昨日、アパートを出るときに思いがけないことを言われた。
「通信販売の化粧品が明日あなたの家に届くので受け取っておいてください」
・・・・・え~っ!!!!
「何時ごろ届くの?」
「さあ、わかりません。あなたが留守でも、玄関に置いておいてくれます。小さいものですから」
冗談じゃない。明日の夕方、Nと一緒に家に入ったとたん、玄関に化粧品の入った箱が置かれていたら・・・しかも宛名が女性の名前。一発でアウトに決まってる。さあ大変だ。
「他に僕の家に配送されるモノはあるの?」と聞いた。すると・・・
「何か問題でもあるんですか?受け取っておいて、あとで暇な時にアパートに届けてくれればいいだけです」
「冗談じゃないよ。僕に新しい恋人がいることは知ってるだろ。明日も彼女が家に来るんだよ」
「新しい女がいることはもちろん知ってますよ。でも、もう家に入れてるんですか?」
僕は誰かさんのことを別れた女だという認識でいた。確かに未練はあった。未練どころか、一緒に暮らしていたときは感じなかったような、彼女に対する強い愛情を感じ始めていた。だから彼女のこれからの生活のためにできるだけのことをしてあげようと思って世話を焼いた。おそらくそのせいだ。誰かさんはいつかまた僕とやり直せると思い始めた。だから、別れたという意識がなかったのだ。一時的な別居状態と認識していたのだ。
通販の化粧品が家に届くことに驚いた僕。そして「二度とモノが届かないようにしてください」と書いた僕。誰かさんはやっと気づいた。僕が彼女よりも新しい恋人のことを大切に思っているんだという事実。そして自分の身に何が起きているのか、その真実に目覚めたのだ。またやり直せるに違いないという夢からやっと覚めたのだ。
「貴男は幸せでいいでしょう。でも私は一人です。自分の誕生日だというのに、どうしてこんなに悲しまなくっちゃならないの?」
「僕が全部悪い。僕のことを忘れてください。そうすることが、貴女にとっても僕にとっても最善だから」
そう言うより他になかった。
「私のことを心配してくれてありがとう。私と知り合ってくれてありがとう。自分がもっと強い女になれたらいいなと思います」
「もう僕は戻れない」
「私も今決心しました。貴男のところに戻りません」
「誰かいい男を見つけて幸せになってね」
「私のことをもう心配しないで。誰しも新しい人と出会ったら、それまで一緒にいた人を捨てなければならないのは宿命です。貴男にとって、私はもう意味がないのですから・・・」
「さようなら!僕の人生で、亡くなった妻の次に最も愛した女・・・」
「さようなら!私がたった一人だけ愛した男、それはあなた・・・」
「死ぬまで貴女のことは忘れない」
「・・・・どうしてこんなに悲しくなるの?」
「僕たちは本当に愛し合っていたからだよ」
「愛ですって?貴男は私の心をこんなに傷つけておいて。私は貴男の玩具じゃないのよ。でもいいの。もう返事はしません」
「僕のことを忘れてね」
「はい。できるだけ早く忘れてあげるようにするわ」
(お互いに『嬉しいマーク』)
僕たちは最後に暗黙の裡に心から愛し合っていることを確認した。憎み合って別れるのではなく、そんなふうに別れるとすれば、未練を断ち切るのは難しいだろう。でも、これ以上彼女に苦痛を与えることはできない。何があっても、もう彼女のアパートを訪ねたり、LINEで言葉をかけたりしないと僕は心に誓った。
(2月3日、9時45分)
今朝ブログを書いた後、胸に痛みを感じ始めた。若い頃に失恋したときの、あの痛みだ。いや、むしろ大切な人をなくしたときの痛みとそっくりだ。妻が亡くなったときの喪失感に似ている。きっと誰かさんは、それくらい僕にとって大切な人だったのだ。失ってはじめて気が付くことはよくあることだから、何でもない。
あと2時間もすればNを迎えに行く。スーパーに寄って、わが家の台所で初めて料理を作ってくれる。メニューは相談して決めた。もしも玄関に化粧品が届けられていて、それを見たNが質問したら、「ああ、これはつい最近までこの家にいた女が注文したものだよ」と答えればいいさ。(12時20分)
(追記の追記)
昨日、Nと家に戻ると、化粧品は家に届いていなかった、誰かさんが配送をストップさせたのだ。(4日、8時)
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